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未来編 弱い相手にしか通用しない卑怯な手法

『人生ってのは本当に不思議だよな』


これも親が子供に伝えるべき事実だと思う。まあそれを実感できるのはあくまでも自らが人生経験を積んでからの話だと思うものの、<予備知識>としてそれがあるかどうかで実感も変わってくる気がする。


俺の両親はそれを伝えてくれていた。当時は実感もなかったものの今はそれが本当に染みてくる。俺の父親は特に若い頃は好き勝手に生きていた時期もあったそうだ。だからそれなりに<若気の至りのやらかし>もあったらしい。しかし彼はそんな自分のやらかしを<武勇伝>とは考えず<奇貨>として<戒め>として語ってくれたよ。その上で、


「そんなお父さんでもこうやって幸せを掴めたんだ。人生ってのは本当にどう転ぶか分からない。錬是(れんぜ)も自分の行いが結果的に自分に返ってくることさえわきまえていればあとは好きに生きたらいい。結婚しろとか孫の顔を見せろとか言わない。まあ、見せてもらえれば嬉しいのも本音だが」


と笑いながら言ってくれたよ。残念ながら孫の顔を見せることは叶わなかったが、それは俺がちゃんと一人前の社会人になる前に事故で亡くなってしまったからってのもある。今の地球人社会では二十代や三十代で結婚したり子供を迎える人間はごく少数だ。なにしろ平均初婚年齢は八十歳を超えてるという話もあったくらいだし。百歳を過ぎてからってのも何も珍しくない。


俺も(ひそか)との間に(ほまれ)(ひかり)を迎えた時点で百歳を大きく過ぎていたし。そのおかげでやってこれたというのは間違いなくある。人生経験を経た上でのことだったわけで。


それがなかったらきっともっとおろおろあたふたしてただろうな。目先の感情に振り回されて怒鳴ったりするどころか頻繁に手を上げてしまっていたかもしれない。まあ俺の子供達は錬慈(れんじ)を除けば皆幼いうちから俺をはるかに超えて強かったから逆に俺が痛い目を見ていた可能性も高いが。


そうだ。『怒鳴る』『叩く』なんてのは、


『相手が自分より弱い』


という大前提があってこそ成立するものだ。相手が自分よりはるかに強かったら何の意味もない。


<弱い相手にしか通用しない卑怯な手法>


なんだよ。子供が幼く弱かった頃にそういう形で支配してきた親が、子供が成長して力をつけて自分より強くなったら立場が逆転するなんてのは、別に不思議でも何でもないだろう? 何しろ、


『威圧と暴力で相手を屈服させる』


ってのを実際にやって見せてきたんだ。それを真似されてなんの不思議がある?


俺はそういう親に対しては同情なんかするつもりもない。



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