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未来編 予備軍

ケインは内向的で攻撃性を表に出さないからそういうことをするタイプには見えないが、もしかすると内心では<嫌なことを言ってくる相手><嫌なことをしてくる相手>に対しては不穏な感情を抱いてしまうこともないとは言えないと思う。そもそもここじゃ過剰にそういうことをしてくる人間がいないからその必要がないだけで。


地球人社会には一見するとおとなしそうに見えるものの実は不穏なことを考えている人間も少なくなかった。今でこそ『事件を起こす』こと自体が難しくなったもののかつては、


『まさかあの人が』


的に言われるようなタイプが大変な事件を起こしたなんてことも少なくなかったと聞く。おとなしそうなその姿の奥に鬱憤を溜めに溜めて許容値を超えた時に突然爆発する的な。


つまり、


『言いたいことも言えない世の中なんて!』


だとか匿名のネットの中で大声で喚いてる人間はまさしくその予備軍なのかもしれないな。しかし今の地球人社会じゃメイトギアが鬱憤を溜め込んで爆発させる前に発散できるように誘導してくれたりするから事件にまでは至らないで済んでる事例も多いらしい。その、


<鬱憤を発散させる方法>


については当人に最も適切で効果のあるものを探って行うからそれこそ千差万別だったりするらしいが。


『メイトギア相手に八つ当たりする』


のもれっきとした<手法>なんだと。それはメイトギアが人間にしか見えない姿をしているからこそ大きな効果を発するやり方なんだとか。


『人間によって溜まった鬱憤は人間相手に発散することこそ有効だ』


ということか。メイトギアは人間じゃないが、人間にしか見えない姿をしているからこそ<代償行為>として効果を発揮すると。


他にも、


『ただただメイトギアに甘やかしてもらう』


というのもあると聞いた。メイトギアに自身を全肯定してもらうことでストレスを和らげるという手法か。


ただしこのやり方は本当にメイトギアに依存しきってしまって社会から脱落してしまう場合もあるらしいので、安易に使えないんだとも。あくまでも対象の人間を徹底的に観察して分析した上で効果が望める場合にのみ使われるそうだ。


日常的に軽く自身を肯定してくれるような声を掛けてもらうだけで済むような事例には用いられないとのこと。当然か、その時点でストレスを和らげられてるのならそれ以上は必要ないし。


俺達が子供達と接する時に心掛けているのもそれなんだ。その存在自体を否定するような言い方は決してしない。


それ自体がストレスになるから。



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