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未来編 理解しようとする姿勢

だから俺達は<当人の気性><当人の適性>について基本的には無闇に否定しないようにしている。だからケインが畑仕事に向いてないことも咎めるつもりはない。そもそも畑仕事そのものが<人間がやらなきゃいけないこと>ってわけでもないし。ホビットMk-Ⅱがいれば十分に事足りてしまう。あくまで、


『ある程度はやり方を知っておいた方がいい』


と考えるからやっているだけの話だ。その点で言えばケインはイザベラよりもよっぽど<作業の意味>を理解してくれている。間引きをしてもらってもイザベラのように『片っ端から芽を摘んでしまう』なんてこともしない。何度か説明して手本を示せばその通りにしてくれた。そもそも、


<説明してくれたことを理解しようとする姿勢>


が彼にはある。対してイザベラにも『ないことはない』ものの明らかにケインのそれに比べると『意欲が見られない』感じなんだ。


けれどだからといって、


『イザベラはダメな奴だ』


的なことを言うつもりもない。そんなのは、


<礼儀礼節をわきまえてる人間にすること>


じゃないと思ってる。別に俺自身が<礼儀礼節をわきまえてる人間>だとは言わないにしても、それを最初から蔑ろにするのも違うとは思うんだよ。大人がそんなことをしてて子供が<礼儀礼節をわきまえてる人間>になれるとは思わない。


まあ俺達がいくら手本を示してもイザベラがそうなれる印象がないのも事実ではあるが。


しかしだからといって『無駄だ』と切り捨てるつもりもない。イザベラは無理でも他の子供達には手本になる場合もあるだろうし。


<無駄だと切り捨てて最初から諦める姿>


を子供に見せるのもどうかと思うんだ。大人がそんなことをしてたら子供だって、


『無理そうなことは最初からしなくていい』


と考えてしまうようになるんじゃないか? <リスクヘッジ>は必要でも『無駄にコストを掛けるのを推奨する』わけでなくてもその辺りの匙加減を考えないのは違うと思う。


それを考えるからこそケインについてもイザベラについても『見捨てる』という選択肢は有り得ない。


『ちょっと都合が悪いというだけの相手を見捨てていい』


ということを子供達に学ばせようとは思わない。それは、


<自分も見捨てられる可能性を考慮しなきゃいけない考え方>


だし。


『他人は安易に見捨ててもいいが自分は見捨てられたくない』


なんてのは通らないさ。それも分かってもらわなきゃいけないし。いずれにせよ『人間を育てる』ってのは簡単な話じゃない。



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