未来編 貶めたいとは思わない
『自分はすべて間違ってて価値がない』
そんな風に考えるのは、
<その自分をこの世に送り出して育ててくれた親>
のことも貶めることになるんじゃないのか?
『そんな人間をこの世に送り出しそんな風にしか育てられなかった』
ということで。
俺は自分の両親をそんな風に貶めたいとは思わない。だから『思い上がる』ことはないように心掛けつつも『卑下する』ことも避けようとは心掛けてるんだ。
幸いなことに光も灯も錬慈も自らを卑下するような振る舞いは見せてないから安心している。未来も黎明も蒼穹もイザベラも同じだ。だから灯もビアンカも久利生もすごく穏やかな様子なんだ。しかも、一見すると自己肯定感が低そうにも感じられるケインでさえ、実はただ臆病で引っ込み思案なだけで『自己肯定感が低い』というのとは少し違ってる気がする。
考えてみれば<自己肯定感という概念>を持つのも基本的には人間(地球人)だけだよな。<臆病な獣>であってもそれは決して自己肯定感の低さを意味しない。まあそそもそも『自己を肯定するしない』なんてのもほぼ人間(地球人)特有の習性であって人間(地球人)以外の生き物はそんなことに拘ったりもしない。
「でも、一部の高い知能を持つ動物の場合だと『自分に自信がある。自信がない』という振る舞いを見せる場合があるんだ。一部の類人猿やイルカなどが知られているね。上手くできない自分に癇癪を起こして自傷行為に走ったりすることもある」
レックスが言う。
「あ~、言われてみればなんかありそうな気もする」
俺もそう応えたものの、
「ただしそれでも地球人ほど顕著ではないけどね。ずっといつまでも引きずったりするわけじゃないから」
とのことだった。そうだな。『嫌なことをいつまでも忘れない』というのも人間の特徴か。だからこそ<復讐>や<報復>を望むんだしな。何十年も前のことをいつまでも引きずってる生き物なんてのはそれこそ人間くらいだろう。ましてや自分が経験したわけでもないことで。
いや、何十年どころか何百年レベルのものもあるのか。<当事者>なんてもう一人も残ってないのにな。<何十年か前の戦争>とかなら当事者から話を聞いた者もいるにしても、何百年ともなれば直に話を聞いたことがある者すらいないわけで。
話は逸れたが、とにかくそのレベルでネガティブな感情を引きずってしまうのが人間(地球人)という生き物だ。そんなネガティブな感情を植え付けるのが何を生むのか考えてみるべきなんだろうな。




