未来編 自身の知見や考えをひけらかしたいタイプ
<自身の知見や考えをひけらかしたいタイプ>
もしこの手記が表に出るようなことがあればきっと俺もそういうタイプだと思われるんだろうな。いや、本心では、
『自身の知見や考えを発信したい』
という気持ちがないわけじゃないのも事実だと思う。普段は意識してなくても<自己顕示欲>というのはほとんどの人間が持ってるだろうし。それぞれ程度の差があるだけで。
そして俺も<自身の考え>にはそれなりに拘りも持ってる。<誰かから与えられたもの>じゃなく<自らの経験のよって納得が得られたもの>についてはやっぱり思い入れもある。あくまでも他人に一方的に押し付けようとは思わないだけだ。『俺だけが正しい』とは思わないようにしてるだけだ。そもそも『俺だけが正しいわけじゃない』のも<経験によって得てきた実感>だし。
ああそうだ。『俺だけが正しい』のならそれはとりもなおさず、
『俺以外の人間はすべて間違ってる』
ということになる。そんなわけがないだろう? 加えて俺だけが正しいのならどうしてすべてが俺の思い通りにならない? 『正しい』のなら間違ってるものは自然と押し退けられて自分の思ってる通りにならなきゃおかしいんじゃないか? でも現実はそうじゃない。どんなに自分が正しいと思っていても通らないことなんていくらでもある。『正しい』のにおかしいよな。
ということは、
『自分が正しいと思ってることも実際には目の前の状況にはそぐわない』
って話なんじゃないか?
『自分こそが正しいと思っているインフルエンサーが実際には世界そのものの主流にはなれない』
のもそういうことなんじゃないのか?
『覇道を成した英雄も最後は身内の裏切りに遭い潰えた』
のも、
『何か適切じゃない点があったからこそ身内の反発を招いた』
ってことじゃないのか? だからこそ俺も、
『自分の考えこそが正しくて世に広めるべきだ』
とまでは思わないんだよ。
『何か上手くいかないことがあったならそれは自身の行いに不備があったからじゃないのか?』
と考えるようにしてるだけなんだ。と同時に、
『すべて自分が悪いんだからと自身を全否定するのも好ましいことだとは思わない』
ってだけなんだ。
『自身の行いに不備があって上手くいかなくてもそれは自分に価値がないのを意味しない』
のは承知してる。だいたい『俺がすべて間違ってて価値がない』のならそんな俺を生み育ててくれた両親はどうなんだ? 俺がこの世に送り出した子供達はどうなんだ?
それはさすがに悲しすぎるだろう。




