表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2856/2984

未来編 みんなのおかげ

『米は知識さえあれば自力で作ることは不可能じゃない』


とは言ったが、その<米を作るための知識>はどうやって手に入れた? 自分一人の力で一から見付けたものなのか? そんなことが可能なのか?


<初めて米を自ら育てて収穫した者>


は確かに自力でそれを成したのかもしれないにしても、ただその者ですら本当に『自分一人の力で』それを成し遂げたんだろうか? 誰か他の人間の力を借りたりしてないんだろうか? その辺は今となっては確認しようもないものの<タイムマシン>でも開発されない限りは確かめるのは不可能なものの、


『完全に一人で成し遂げたと考えるのは難しい』


のも事実だと思う。<家族>であれ<親しい知人>であれ<誰かの協力>があってこそのものなんじゃないだろうか。そんな気がして仕方ないんだ。


実際、俺達はこうやって一から社会を作ろうとはしているものの<俺以外の人間の協力>なしでは何一つできなかった気しかしないし。


もしここ朋群(ほうむ)に人間社会が出来上がったとしてもそれは俺一人の功績じゃない。別に俺が<偉人>だったわけじゃない。


『みんなのおかげ』


なんだよ。俺が綴ってきたものを読み返してもおそらく一度だって『俺自身の力だけで』なにかを成したわけじゃないのが分かるだろうな。その事実を理解すればこそ俺は『驕る』ことができない。


今ここにいない人間の存在もなければ俺は今ここにこうしていないはずなんだよ。子供達にもそれを理解してほしいと思う。<獣人の血を引く子供達>は本当に自力で野生に戻ることができるかもしれないにしても、『人間として生きる』なら<自分以外の誰かの存在>は疎かにはできないと分かってほしいんだ。


それが分かっていればケインがどんなに頼りなく思えてもそれを蔑ろにしようとは考えないんじゃないか?


それにケインは未来(みらい)達とは一緒に勉強しないが、実は<知能>の点では明らかに高いんだ。たぶん今の時点でも未来(みらい)よりも上だと思う。年齢は下にも拘わらずだ。


人見知りが激しく引っ込み思案だから他人と積極的に話をするわけじゃないもののイザベラやキャサリンと違って『普通にしゃべる』ことができている。母親のビアンカとは実年齢よりもしっかりした話し方をするそうだ。


血は繋がっていないにも拘わらずむしろ久利生(くりう)に近い印象もあるとのこと。外見はますますビアンカに似てきてるのにな。


ちなみに念のために触れておくと、ケインは『アラニーズとしては男性』ではあるが<地球人そっくりな部分の姿>は女性(と言うか若い頃のビアンカそのもの)なんだよ。だからこそ早々に服を着るようになってくれたのはありがたい。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ