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未来編 まさに天敵

ケインはとても臆病で弱虫で頼りないだろう。地球人にはそんな彼を見て『苛つく』だの『ムカつく』だの言う奴がいるだろう。だが俺達の中には本気でそんなことを思うのはいない。未来(みらい)黎明(れいあ)でさえ、


「もっとしっかりしろよ!」


「だらしない」


みたいなことを言う時はあるもののだからといって彼を蔑んでいるかといえばそんなことはないんだ。


『ケインはそうだから』


というのを受け入れてくれている。その上で、


『もっとしっかりした方がいいんじゃないか』


と思ってるだけだ。彼を否定し貶し蔑ろにしようとは思ってない。イジメようとは思ってないんだよ。その必要も感じていない。


『イジメはイジメられる側に問題がある』


なんて考えは持ってないんだよ。なにしろ誰もそんな考えを具体的に示してこなかったし。


そもそも<イジメ>はれっきとした<犯罪>だ。と言うか、今の地球人社会ではさすがに不法行為レベルにまで至らないと明確に<イジメ事案>とはならないらしい。それまではあくまで<イジメの疑い案件>という扱いになるそうだ。


これも、学校では教師のサポート役として配置されているメイトギアが詳細に記録を残してくれるから立証も『言った言わない』『やったやらない』の水掛け論になりがちだった頃に比べればはるかに容易になったとのこと。


そしてこのこと自体が<抑止力>となり<イジメとまで認定される事案>は激減したわけだ。そりゃそうか。<脅し>が効かず<思い違い>がないメイトギア相手にどんな屁理屈を並べても、


『犯罪行為をなかったこと』


にはできないわけで。人間である以上、<人間関係の綾>はある。まともに関わり合いになりたいとは思わない<困った奴>もいる。しかしそれは、


<犯罪行為を正当化する理由>


にはならない。それだけの話なんだ。だからこそ、


『イジメは加害者側が悪い』


という事実は揺るがない。『被害者側に問題があった』のならその時点で適切な対処をするべきだった。犯罪に手を染めてしまった時点でもう手遅れなんだよ。


かつては学校内には司法の手は届きにくかったらしいが、メイトギアの普及はその壁すら破壊してしまったわけだ。これ以上ないくらいに<客観的事実>として提示できるようになったがゆえに。


しかもそれは<教師の負担>も大幅に軽くした。<問題のある生徒>と真っ向向き合うのはメイトギアが担ってくれるから。ロボットは人間の暴力など恐れない。怯まない。それどころかすべてを記録して<証拠>にしてしまう。


<犯罪によって自分に都合いい状況を作り出そうとする輩>


にとってはまさに<天敵>だな。



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