表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2849/2982

未来編 無謀では生きていけない

ケインは、未来(みらい)達とはやや距離を置いてる印象だった。『仲が悪い』というわけではないものの同時に『仲が良い』とも言い難いのが偽らざる印象だ。イザベラはケインに対していささか当たりが強いもののそれはあくまでアラニーズとしての元々の気性ゆえのものであって『彼を強く嫌悪してる』わけじゃないのは確かだと思う。<嫌悪>しているならもっと強い攻撃性を見せてもおかしくないだろうがそこまでじゃないし。


一方、ケインの方はアラニーズとしてはおそらく特異なまでに気弱な性格だから積極的に関われないんだろう。<慎重>とか<臆病>とかは野生の猛獣であるヒト蜘蛛(アラクネ)にも備わっている部分ではある。


<比類なき凶暴さ>が特徴であるヒト蜘蛛(アラクネ)ではあるものの、昆虫ですら危険に対しては敏感な部分があるように慎重さや臆病な一面も備わってはいるんだ。特に幼体(こども)のうちはそうでないと生き延びられないだろう。いくら生まれ出た時点で大型犬並みの攻撃力を持つとはいえ、ここではその程度じゃ<安泰>には程遠い。ましてや共食いの習性も持つヒト蜘蛛(アラクネ)の場合は<ヒト蜘蛛(アラクネ)成体(おとな)>が<天敵>でさえあり、正面切って戦えばそれこそ成す術なく殺されて食われてしまうのがオチだ。となれば危険を察して身を守る必要がある。そのための慎重さであり臆病さなんだ。


ものすごくたくさんの卵を生むような生き物ならそれこそ何も考えずにただただ確率頼みで子孫を残していけるかもしれないにせよ、ヒト蜘蛛(アラクネ)はそうじゃない。母親の体内で卵から孵り子供同士で共食いを繰り返して生き延びた数個体が外に出てくる形である以上はそれぞれが生き延びるための手立てを講じる必要がある。自身をはるかに圧倒する強い相手が無数にいる世界じゃ無謀では生きていけない。ゆえに必要なものでもある。


とはいえ、ケインの場合はイザベラやキャサリンのような<激しい気性>も持ち合わせていないから、ただただ臆病で引っ込み思案で人見知りな印象になってしまうというのはあるだろう。


さすがに残念な気もしないではないものの、彼のような個体でも生きられるからこそ<人間社会>というものは成り立ってるんだろうとつくづく思う。


朋群(ほうむ)人は個々の生物として<地球人>に比べれば圧倒的に強者だろうが、<種としての地球人>は今の朋群(ほうむ)人なんて比べ物にならないくらい強い。それは弱い個体であっても生き延びられるほどの社会を作り多くの才能を集め<力>を生み出してきたからなんだよな。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ