表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2843/2983

未来編 ドラマの一部

不自然さを軽減するためにわざと与えられた<揺らぎ>さえ必要とあれば<不確定要素>として計算に入れて瞬時に補正してくるAIを搭載したメイトギアであれば、


『失敗することの方が難しい』


のが事実なんだよな。まったく同じ演技を何度でも失敗することなく披露してみせるんだ。それこそ、


『フィクション作品の盛り上がる部分を何度読み返しても観返しても同じシーンを見ることができる』


のと同じで。


『リアルタイムで行ってるからごくごくたまに失敗することもある』


だけだ。<レアなシーン>という感じで。


対して生身の人間が行う<演技>は、練習の段階では何度でも成功してみせても本番でも必ず成功するとは限らない。特に<氷の上で演技するフィギュアスケート>のようなものの場合は。AIと違って人間は与えられた情報を<数値>として認識しそれを瞬時に計算するということができない。<違和感>という形で捉えることができてもあくまで<感覚>で対処するだけだ。だが、その違和感を感覚で対処しようにも今度は<肉体>の方がそれを確実に再現してくれるとは限らない。どうしても<疲労>や<緊張>や<動揺>などの影響で自分が思ってる通りに動かないことがある。


対してロボットには疲労も緊張も動揺も関係ない。厳密には<疲労>もないわけじゃないにせよあくまで<誤差の範囲>に収まるんだよ。その程度ならAIが十分に補正してみせる。だいたいロボットなどの疲労はデータとしてあらかじめ蓄積されてるからそれも計算に入れてるしな。


となれば何度すごい演技を見せてもただの<リピート再生>のように代り映えしないものになってしまう。


『それで毎度毎度盛り上がれるか?』


という話なんだろう。対して生身の人間の場合は逆に、


『練習では一度も成功しなかったものが本番では成功する』


なんてことも起こり得る。実にドラマチックだ。そういうことが有り得るからこそ人間が演じるそれに盛り上がれるんだろうさ。加えて<演者の気持ち>が垣間見える時もある。フィギュアスケートの場合だと、演技の結果が点数として出てくるのを待つための、


<キスアンドクライ>


と呼ばれる場所での選手やコーチの様子もドラマの一部なわけで。勝てばそれこそ狂喜したり負ければ慟哭したりと、見る者の心を揺さぶってくる。しかしロボットであるメイトギアは、


<自分の最奥から込み上げてくる感情>


を持たないからなあ。エレクシアが狂喜したり落ち込んだりなんて姿を想像することができない。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ