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未来編 もし才能があるのなら

そうだ。


『厳しい環境に置かれて追い詰められた者がハングリー精神によって途轍もないパフォーマンスを発揮する』


のが本当に正しいのなら、


<悲惨な境遇に生まれついた犯罪者>


なんてのはどうして存在するんだ? 自分の周りを見るだけでも、


<劣悪な家庭環境の中で育ってグレた者>


は何人もいたりするんじゃないだろうか? ごく稀にそういう者達の中から大きな活躍を見せる者が現れたりしたら、


『ハングリー精神がそれを実現した』


みたいにありがたがったりするのは、その<例外>の陰に隠れた無数の<好ましくない事例>から目を背けてるだけとしか俺には思えないんだ。俺は自分の子供達にそんな人生を歩ませたいとは思わない。もし<才能>があるのなら真っ当な方法でそれを伸ばしてやりたいと思う。


俺がいた頃の地球人社会でもそのためのサポート体制もそれなりに整えられてるところも多いし。アスリートに憧れる子供達についてもカリキュラムは充実してる。少なくとも俺が暮らしていたところではそうだった。スタッフの多くはメイトギアで人件費を抑えつつ、施設や設備もロボットのみで作られて低コスト化が図られたものだったり。だから外観はなんとも愛想に欠けるのが特徴だったな。


そういうところに拘る人は相応の費用を投じて、人間のスタッフが多く外観も好印象なところを選ぶ感じか。


でもなあ、


『どっちが優れたアスリートを輩出するか?』


と言われればそこまで顕著な違いはないらしい。数字上も誤差の範囲に収まるんだとか。だから、


<お金がないから強くなれないという言い訳>


は通用しなくなってるらしいんだよな。親の理解がなくても、と言うか、


『むしろその辺に関心がない親の方が下手な干渉をしてこない』


ということで練習に打ち込める場合も多いんだとか。人間のスタッフが多いところで親や保護者が過剰に干渉してくるとどうしてもスタッフの方も委縮しがちらしいんだよ。


熱心なのはいいんだが、基本的に親が<素人>の場合だけじゃなく<その道のプロ>の場合でも<自身の成功体験>を基準に考えてしまいがちで、そういう意味でも、


『親と子供は別の人間である』


という事実を蔑ろにしてるのがいるとのこと。自分に適した練習方法などが子供にも適してるとは限らないのが分からなくて結果として足を引っ張ってしまう感じか。対してロボットであるメイトギアは親が相手でも臆することも委縮することもなくただただ子供を人間として正面から向き合ってくれるからな。



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