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未来編 悪気はない

さっきも畑の<間引き>で<残しておくはずの芽>まで次々と抜いてしまったイザベラだが、何度も言うように彼女自身に悪気はないんだ。あくまでも間引きという作業の意味を理解していないから、未来(みらい)が育ちの悪い芽を次々と抜いているのを見て、


『土から出てるのを抜けばいいのか!』


と勘違いしてしまっただけだろう。だから未来(みらい)もルコアもイザベラを諌めはするものの叱ったりしない。怒鳴ったりしない。ましてや叩いたりなんて。


まあそもそも叩かれそうになったりしたらイザベラの方も当然のこととして臨戦態勢に入るけどな。


<アラニーズ>と遺伝的には非常に近い<野生のヒト蜘蛛(アラクネ)>はそもそも<躾>なんかしない。子供は生んだら生みっぱなしで<養育>自体しないから当然だ。なるほど<成体(おとな)ヒト蜘蛛(アラクネ)>が<幼体(こども)ヒト蜘蛛(アラクネ)>に対して<厳しい振る舞い>をしたりすることもあるが、人間(地球人)はそれを<躾>だと解釈することもあるだろうが、実際には他の動物に対しても同じような振る舞いはするので、


ヒト蜘蛛(アラクネ)幼体(こども)だからそれをしてる』


わけじゃないんだよ。どこまでも、


『自分にとって都合が悪いから排除しようとしてるだけ』


でしかない。何しろそれで動かなくなったりしたらそのまま食べてしまうからな。つまりヒト蜘蛛(アラクネ)にとって幼体(こども)は、


<種を繋いでくれる存在>


じゃなくてただの<獲物の一種>でしかないんだ。その中で生き残ったものが種を繋いでいくだけでしかない。そういう戦略の生き物だし、ヒト蜘蛛(アラクネ)のような生き方をしている種は他にもいくらでもいる。地球でもぜんぜん珍しくない生き物だ。


にも拘らず地球人は、


『躾を行ってる』


などと自分に都合のいい解釈をする。自分がただ子供に対して感情をぶつけたり鬱憤の捌け口にしたりストレスを転嫁するための言い訳でしかないそれを正当化するために。


子供に『人間としての生き方を教える』のは結局のところ、


『親自らが実際の手本を見せる』


以外にないんだとつくづく実感させられてるよ。それを口先だけで<理想の姿>を語ってその通りに生きることを子供に強要して子供がそれに応えられなかったら<躾>と称して怒鳴ったり暴力を振るったり。


本当にどこまでも野生の獣の方がよっぽど潔いし優秀だと思う。地球人というのは本当に駄目な生き物だ。とてつもなく高い知能を持ちながらその知能に振り回されて<我欲>が抑えきれなくなる。そしてその我欲が感情の振り幅も大きくする。


俺は朋群(ここ)に来たからこそそういう地球人の姿を客観的に見られるようになった気がする。



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