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未来編 そのために必要なもの

俺は、自分が気に入らないというだけの理由で何かを貶したり蔑んだり嘲ったりしようとは思わない。自分の価値観だけが正しくてそれにそぐわないものは正しくない価値がないなんて思わないんだよ。俺はただの人間で、<全知全能の神>でも何でもないんだ。


だからこそ自分の好みに合わないものに価値を感じる人間についても自分と同じただの人間だとしか思わない。その人間をどうして貶したり蔑んだり嘲ったりしなきゃいけないんだ?


これは<物品>や<コンテンツ>についても同じだと思う。自分の好みに合わない物品やコンテンツを貶したり蔑んだり嘲ったりするのは、それを好む人間を貶し蔑み嘲ってるのと同じなんだ。自分の親や身近な大人がそんなことをしていたら子供はどう感じると思う? 子供からはその姿がどう見えると思う? 想像すればするほど俺の子供達に対して他人の価値観や他人の好きなものを貶して蔑んで嘲るなんてことはできなくなる。


少なくとも俺はな。


なのに自分の子供に自分の姿がどう見えているかどう受け取られるか考えることもできない親が確かにいる。


どんな価値観や好みを持っていても俺にとっては本当にどうでもいいことなんだが、どうでもいいことであればこそ貶すことも蔑むことも嘲ることもする価値を感じない。


その俺とどうして同じことができないのか。俺はただ単に自分以外の人間についても人間扱いしようと思っているだけだし、自分以外の人間が楽しんでいるものを貶して蔑んで嘲って嫌な気分にさせようとは思わないだけなんだ。たったそれだけのことなんだ。


俺にとっては<たったそれだけのこと>を不可能だと感じる人間もいるらしい。それはなぜなんだ? 一体何がそう思わせるんだ? 不可能と感じる原因は何なんだ?


俺は、俺自身の両親をはじめとしたたくさんの人達のおかげで今の自分があると実感している。シモーヌもビアンカも久利生(くりう)もその一人だ。<人間>によって今の俺は作り上げられてきた。それと同じで子供達も人間の中で人間として扱われることで人間としての生き方を学んでいってくれる。それが分かる。


お互いに人間である以上は何もかもを相手にとって都合よくいることはできないし相手も自分にとって都合よくいてくれるわけじゃない。たったそれだけのことをちゃんと分かっていれば自分以外の誰かと無駄な諍いを起こす必要もなくなるだろう。


改めて言うが俺がこれまで語ってきたことのすべてはそのために必要なものなんだ。



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