未来編 より高いスキル
なんにせよ、この<授業>と言うか<勉強会>と言うかは<知識を身に付けるためだけの場>じゃない。知識を身に付けるためだけの場として考えればあまりに非効率で低レベルで地球人社会での教育と比べれば鼻で笑われるだろうな。
でも、ここではこれでいいんだよ。小学校高学年並みで十分なんだ。そもそも<使い道>がないし、必要な知識は光莉号やコーネリアス号のAIが一瞬で提供してくれる。それ以前にエレクシア達が持っている知識だけでもむしろ過剰なくらいだし。
それを羨む人間もいるかもしれないが、今の地球人社会じゃ『個人が膨大な知識を持っている』というのはもはや、
『ブランド品を所有している』
程度の意味しかないんだよな。なにしろ、
『必要な知識を必要な時に適切に取り出して利用できる』
ことの方がより<高いスキル>として認識されてるしな。が、それが高いスキルであるのは事実でありつつ今なお個人が膨大な知識を持っているのを『価値が高い』と考える人間はそれなりにいて、そういう認識も普通に一般常識のように蔓延っている。しかもそれを驕る手合いもいるんだ。
確かにシモーヌや久利生やシオやレックスは個人で豊富な知識を持ちそれを活かしているが、『驕って』はいないんだよな。それぞれ必要だから身に付けただけで、いわば<道具>でしかなく、いい道具を持っていることに驕るのは人として好ましいこととは俺も思えない。
まあ久利生の場合は若干事情が違うが。
『久利生家の人間として恥ずかしくないように』
と求められたものであって、彼自身が積極的に望んだことじゃない。ないが、これもまた『必要だから』であるのも事実だ。ゆえに『必要だから身に付けた』というのは間違っていない。
そしてシモーヌやシオやレックスについては、
<自分自身が膨大な知識を持っているからこそ得られるひらめき>
を欲している。『必要な知識を必要な時に適切に取り出して利用できる』こと自体が高いスキルであるとはいえ、いわばそれは<外部メモリに情報を蓄えている状態>とでも言えばいいのか。それだと<知識を参照する速度>に大きな差が出てしまうのもまた事実。それを自らの脳に蓄えていればこそ<瞬間的なひらめき>というのもあるんだろうさ。
『必要な情報を求めてアクセスし、供された情報を参照する』
のはその分だけ時間も要するしな。<瞬間的なひらめき>は生じるはずもない。だから<専門家>や<研究者>は自らが知識を蓄えることに拘るんだよ。




