未来編 爆発するための鬱憤
イザベラがビアンカに連れ戻される時も、
『お兄ちゃんとお姉ちゃんはルコアと一緒に朝ごはん食べてるのにどうして私は駄目なの!?』
的な反発はしなかった。これも分からない人間には分からないだろうな。『そういう反発はするもの』と思い込んでる人間には。
普段から抑圧されてる人間は鬱憤が溜まってるから何かをきっかけにそれが爆発したりするが、元々抑圧されてなければ、
<爆発するための鬱憤>
がそもそも溜まってないから基本的に爆発しないんだよ。拗ねたりはしてもな。それにあくまでイザベラはまだビアンカや久利生と一緒に朝食をとることになってるが、朝食後はだいたい自由だ。ルコアの家に遊びに行くことも許されてる。やたら頭ごなしに抑え付けなくてもきちんと手本を示してれば子供はだいたいその真似をする。
俺自身も親として子供達を見てきたが、接してきたが、子供達が俺に反発する時は結局のところ俺自身に<反発を招く原因>があっただけだしな。自分自身を客観的に見られればそれが分かる。自分に原因があると分からないならそれは『客観的に見られてない』だけだ。
こんな言い方をすればキレるのも多いだろうし、ネットで発信すればそれこそ<炎上>してもおかしくないだろう。だがそれは俺に言わせれば、
『図星を突かれて頭に血が上ってるだけ』
だな。そんなことで感情的になってて自分を客観視できると思うのか? できるとは思えないな。
まあなんにせよ、イザベラは朝食のために自宅に戻り、ルコアと未来と黎明の三人だけになった。
それからは落ち着いてまずは朝食を済ます。サーペンティアンのルコアにクロコディアの未来にアラニーズの黎明の三人の食事風景は、地球人がイメージする<朝食>とはかけ離れてるけどな。量も速度もそれこそ『桁違い』だ。もはやただの<フードファイト>としか思えない。
いや、三人にとっては別に急いでるわけでもがっついてるわけでもないが。特にルコアは元々の性格が温和だし性急な振る舞いはしない方だが、なにしろ量が半端ないから『あまりのんびり食べてると他のことができなくなってしまう』ってのがある。だから急いでなくてもてきぱき食べる癖がついてるんだな。それに三人とも顎の力が強い上にスタミナもあるからダレない。
で、三十分ほどで朝食を終えると、
「じゃあ、歯磨きね」
ルコアの号令で揃って洗面所に向かい並んで歯を磨く。未来や黎明のようなタイプは歯磨きなどは面倒がりそうだが、ビアンカやルコアが一緒にやるようにしてくれてたからしっかりと習慣づいているんだ。




