未来編 キャサリン
今、ビクキアテグ村に暮らしているのは、灯、ビアンカ、久利生、ルコア、灯の娘の蒼穹、ビアンカの子供達の黎明とケインとイザベラとキャサリン、來の息子の未来、ビアンカに懐いて居着いた素戔嗚の十一人だ。
まあ、キャサリンは睡眠をとるために帰ってくるだけで、夜明けと共に村から出ていって夕暮れ時まで戻ってこないけどな。あと、朝から雨が降ってると家から一歩も出ない。雨はあまり好きじゃないようだ。ここの草原は雨は一ヶ月に数回降る程度だからいわば休日のようなものだが。
対してロボットはテレジアとグレイおよびモニカとハートマン、ドーベルマンMPMとホビットMk-Ⅱを合わせると二十機ほどが常駐していて住人のケアと村の畑や施設の維持管理に活躍してくれている。
ルコア達の関係性は良好で、村は平穏そのものだ。村の外にはオオカミ竜やレオンや大型の猪竜など危険な外敵も多いものの、以前からこの周辺を縄張りとして暮らしているオオカミ竜やレオンはビクキアテグ村に住む者達が非常に危険な強敵であることをよく知ってるので十分な距離を取っていて決して近寄ってこようとはしない。ただし、それを知らないオオカミ竜やレオン、そもそも気性が攻撃的で恐れ知らずなところがある猪竜が近付いてくることがあるからその度に撃退してる状態だな。
基本的には少々痛い目を見てもらって<村を襲うリスク>を知ってもらう形だが、中にはそれが通用しない相手もいる。特に猪竜にはその傾向が強く見られる。草原に生息している猪竜は、遺伝子的には密林に生息しているそれとほとんど違いはないが体は一回り以上大きく力も強いからかさらに凶暴なのが多いんだよ。もちろん個体差はあるにせよグレイやハートマンのような<異形の怪物>を前にしてもまったく怯まないのも少なくない。グレイやハートマンそしてビアンカやイザベラを前にすると大抵の獣は警戒して引き下がるんだけどな。
ちなみに起きている間の生活は村の外で行ってるキャサリンの主な獲物は猪竜だ。アラニーズとして立派に育った彼女は猪竜を前にしても一歩も引くことなく戦って仕留め、それを糧として生きている。もちろん少なからず危険はあるもののそこはドーベルマンMPM十六号機がフォローしてくれるしな。
そうだな。キャサリンと十六号機の姿はもうすっかり<番>のようですらある。アラニーズとしてのメンタリティを確立してる彼女は『ロボットをパートナーとする』ことについてまったく違和感を覚えてないようだ。




