表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2779/2984

未来編 一緒にルコアのパートナーに

「ルコア、俺のパートナーになってくれ!」


まるで<挨拶>のようにダイニングに顔を出した未来(みらい)がそう口にした。そんな彼に対してルコアは、


「そうだね。あなたがもう少し大人になったら考えてもいいよ」


穏やかに微笑みながらそう返す。もうすっかり未来(みらい)のプロポーズにも慣れた様子だ。すると未来(みらい)も、


「おう! 絶対だぞ!」


と言いながら朝食の席に着く。はぐらかされていることに憤るでもなく当たり前のように。


彼としてもあくまで自分の気持ちを正直に伝えているだけでそれをルコアに押し付けるつもりはないんだ。そんな彼に今度は黎明(れいあ)が、


「駄目だよお兄ちゃん。ルコアは私のパートナーになるんだから」


分厚いベーコンをガシガシと噛みながら睨みつけるような視線を向けつつ口にする。これにはルコアも、


「あはは……♡」


少々苦笑いだ。軽口のようでありながら黎明(れいあ)の言葉は決して冗談じゃないんだよな。彼女は彼女なりに本気でルコアに想いを寄せている。まあ、実年齢ではようやく十歳になろうかという年頃なだけに、優しくてかつフィジカルもずば抜けているルコアへの憧れを勘違いしてしまっているだけの可能性も高いだろうが、それでも本気なのは事実だ。


これに対して未来(みらい)は、


「ケチケチすんなよ。俺も黎明(れいあ)も一緒にルコアのパートナーになりゃいいじゃん」


真剣な表情で口にした。さすがに<獣人>の血を引いてるだけあってその辺りの捉え方が地球人とは根本的に違ってる。意図してそう誘導したわけでもないのに当たり前のようにそう考えるんだ。


ただ、未来(みらい)はクロコディアとしての、黎明(れいあ)はアラニーズとしての、生来備えている性質を発現させているんだろうが、体はサーペンティアンとしてのそれを持ちつつオリジナルの方は地球人として生を受けたルコアはさすがにそこまでおおらかではいられない。


だから、(ひなた)(まどか)(うらら)のようにそういう気持ちをストレートに受け止めることはできなかった。未来(みらい)のことも黎明(れいあ)のことももちろん好きだが、二人が生まれた時から世話もしてきたルコアとしてはどうしても<恋愛対象>というよりは<弟妹>という認識が強く出てしまっているんだろう。


野生であればそれこそ血縁のある相手とも(つが)ったりすることはある。なるべくそうならないような習性も持ちながら決して万全じゃないんだ。ゆえに(ほむら)(さい)および(あらた)(りん)のような事例も必ずしも珍しいものじゃなかった。それもあって俺もとやかく口出ししなかったんだよな。


しかし、地球人としてのメンタリティが強く出ているルコアにはピンとこないみたいなんだ。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ