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陽編 同じストレスでも

<職場のストレス>


これも今なお完全に解消されているわけじゃないものの昔に比べれば随分とマシにはなっているらしい。俺達自身はあくまで現代に生きてるわけで<昔>についての実感はないにせよそれでも楽とまでは言えないのも正直なところだ。


二十代前半頃から働き出したら、老化抑制処置の効果が切れても人によってはさらに二十年くらいは働く場合もあるという。その場合はまさしく二百年ほど働き続けることになる。


ただ、昔に比べて労働環境そのものがずっとマシにはなっているからこそ二百年くらい働き続けることもできてるのは確かなんだろうな。老化抑制処置が実用化される以前の社会のままだとそれこそ二百年も働き続けるなんてできなかっただろうとも言われている。そもそも<定年>までの四十年やそこらの期間でも大変だったとも聞く。そんな頃なら二百年も働き続けるなんて『正気の沙汰じゃない』って感じだったんじゃないか? 


『いくら生活のためには働かなきゃいけない』と言われても『仕方ないで二百年』はさすがに途方もないだろう。『仕事自体が楽しい』ってことでもない限りは精神的にもたないんじゃないか? 『ゴールが見えているからこそ耐えられる』というのもあったんじゃないか? 


<今の俺の仕事>は、


朋群(ほうむ)製AIのアルゴリズム作成>


および、


<ここにできていく社会を見届け記録を残すこと>


だが、幸いどちらも過剰にストレスが掛かる仕事じゃなかった。淡々とこなしていけばそれでいいからな。<アルゴリズム作成>の方は明確な目標があるものの<記録>の方はエレクシア達がいれば詳細なそれが残るしそもそも<ゴール>が存在しない。『こうならなきゃいけない』という縛りがない。正直、いつやめたってどこでやめたって構わない。そんな仕事だ。<矜持>はあっても<義務>はないしな。俺自身の気持ちの問題ではある。


もっともこれは、<今の地球人社会での仕事>自体そういう傾向が強いんだ。<絶対に必要なこと>はロボットがいれば確保できる。『死んでもやり遂げろ』と強要されるような仕事は事実上存在しない。個人的に『死んでもやり遂げたいと感じている』ものがあったりするだけなんだよ。


当人が自らそう思ってるだけならストレスもそれほどじゃないだろう? もちろんストレスそのものはあるにしてもそのストレスはむしろ自分自身を奮い立たせるタイプのストレスなんじゃないか? <嬉しいこと>だって実は<ストレスの一種>らしいしな。


同じストレスでもそっちの方がいいと思う。



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