表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2761/2984

陽編 自分の親の評価を下げる振る舞い

『自分の親の評価を下げるような振る舞いをする人間はきっと自分の親が嫌いなんだろうな』


結局、そういうことなんだろうと思うよ。俺は人間を<価値>や<評価>で語ることはしたくないが、地球人社会では価値や評価に強く拘る人間は多かっただろう? 命さえ価値のあるなしで語るのもいた。そこまで価値や評価を重視してるのなら自分の親の評価を下げるような真似はしないと思うんだが、実際にはよくない意味で『親の顔が見てみたい』と言われるような振る舞いをするのも多かったよな。


<自動車の運転>なんかでもそれこそ傍若無人なのも多かったと聞く。だからこそ自動運転が進歩し、結果として人間は運転をしなくなった。もちろんしようと思えばできるんだが、ちゃんと運転免許を持ってないと管理責任者として認められないんだが、あまりにも交通法規に抵触する運転をするものだから自動車を制御するAIからの警告が止まず嫌になってしまうらしい。


それに、AIは他のAIと連携してまさしく生体組織のように有機的に道路状況を最適化して最も効率のいい移動を実現してくれる。個々人が好き勝手に自分のペースで走ろうとすることで結果的に流れが滞ってしまうのとは実に対照的だそうだ。俺自身も地球人社会において自分で自動車を運転するのなんて、それこそ郊外の交通量が非常に少ないところでドライブする時くらいだったよ。まだ普通の生活ができてた頃の光莉(ひかり)を乗せて。


ただ、光莉(ひかり)には、


「お兄ちゃんが運転するの、ちょっと怖い」


と言われてしまったりしたけどな。AIに制御された極めてスムーズなそれに慣れてしまっていた光莉(ひかり)にとって<生身の人間の運転>は不安にさせられるものだったんだろう。


別に無闇にスピードを出したり乱暴な運転をしてたわけじゃないはずなんだが。<AIからの警告>もほとんどなかったし。ちょっと制限速度をオーバーしてしまって自動でアクセルを緩められてしまったくらいで。


でも、俺みたいにあくまでスムーズな運転を心掛けていても同乗者を不安にさせてしまったりするんだから、それを心掛けてもいなければなるほど身勝手な運転にもなるってものか。


だがそうやって身勝手な運転をして他人を不安にしたり危険に曝したりなんて運転の仕方を親から教わったのか? 実際、子供を乗せた自動車がルールを蔑ろにしていたりというのも珍しくなかったと聞いたな。


親がそんな運転をしていれば子供も当然真似をすると考える方がむしろ自然だろう。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ