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諦め(これも自然というものか)

とうとう(めい)にも子供が生まれ、(ほまれ)(しょう)の子供達も元気で、正直、あっちもこっちもで気が回らない。


それでもとにかく触れておくとすれば、(めい)(かく)の子供は、(かく)の特徴を受け継いだのか、頭に(つの)のような小さなでっぱりがあったのが、みるみる成長して本当に(つの)のようになってしまった。しかも誕生後数週間の時点で既に(かく)のそれに匹敵する大きさだから、さらに大きくなる可能性もある。


正直、見てる分には『かっこいい』と思わなくもない。ちなみに名前は(えい)とした。


ただ、そんな(つの)なんて別に必要ないはずだから、逆に何かデメリットにならないかと心配ではある。


また、(ほまれ)の子は、(たもつ)(みどり)


(しょう)の子は、(りょう)と名付けた。


と、取り敢えず名前を付けたものの、覚えていられる自信はまったくない。


それに、名前のパターンも遠からず尽きる気がする。漢字一文字で読みが重ならないようにとなると。だからもしこれからも名前を付けていくなら、従来のパターンをそろそろ破る必要が出てきそうだな。


なんてことがあって、駿(しゅん)のことばかり気にかけてもいられなかった。


すると……


「…あれ? 駿(しゅん)はどこに行った?」


ある日、久しぶりに駿(しゅん)の姿を見ようと(ろく)号機の映像を出してみたが、どこにも駿(しゅん)の姿がなかった。


「まさか…!?」


ざわっとした感覚が背筋を奔り抜ける。


まさか、他の動物に……!?


不安になって映像を確認してみると、二日前までのそれの中には確かにすっかり大きくなった駿(しゅん)の姿があって、元気そうにしてたのに、その後はまったく見えなくなってしまっていた。


幸い、駿(しゅん)が他の動物に襲われるような光景は記録されてなかったものの、不安は拭えなかった。


「もしかしたら巣立っただけかもしれませんよ」


シモーヌがそう言ってくれるけどな。


「これも自然というものか……」




一週間が過ぎても駿(しゅん)の姿を確認できなかったことで、俺は諦めないといけないと自分に言い聞かせようとした。


だが、最後にもう一度だけと表示させた陸号機のカメラ映像の中に―――――


駿(しゅん)…!?」


駿(しゅん)だった。さんざん見てきたからか、何故かそこに映っているボクサー竜(ボクサー)がそうだと分かってしまった。しかも、もう一頭……じゃない。さらに他にもいる…!?


そこに映っていたのは、少なくとも五頭のボクサー竜(ボクサー)と共にいる駿(しゅん)の姿だった。そして彼女は、陸号機をまっすぐに見詰めていた。


そうしていたのはほんの一分かそこらだっただろうが、まるで挨拶を終えたと言わんばかりに踵を返して、仲間らしきボクサー竜(ボクサー)と共に、密林の中へと消えていったのだった。


「そうか…本当に巣立っただけだったんだな……」



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