表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2746/2984

陽編 永遠の愛じゃなく

今の地球人社会においては離婚と再婚はほとんどの既婚者が経験する<ごく普通のこと>なんだ。なにしろ老化抑制処置のおかげで何度でもやり直すことができるし、仕事をするのも『生きるため』という以上に『生き甲斐のため』になったから離婚後の生活の心配をする必要も小さくなった。


そうなると『もう一緒にいられない』と感じれば躊躇う理由がほとんどなくなるわけで。


比較的に関係が良好とされている夫婦でも、『一生添い遂げる』例は少ないそうだ。親子でも『自立して家から出ていく』のも多いから、それまでの間だけだろう? 一緒に暮らしているのは。ましてや元々は赤の他人同士だった夫婦が『一緒にいることに耐えられなくなる』のも無理からぬことなんだろうな。


そういう意味では俺とシモーヌもずっと一緒とは限らない。もしかしたらということは有り得る。まああくまでも数十年の話であってさすがに『百年以上』ってわけでもないからそれくらいならいなくもないか。


だが、人間の気持ちってのは時間と共に変化していくものだからな。加えてシモーヌは今でもレックスを愛してるわけで、もしまた<十牧(とおまい)アレクセイのコピー>が顕現したらどうなるか分からない。そちらに心が傾いてしまうことは十分に有り得るだろうな。


だが俺はそれも覚悟の上でパートナーになったんだ。


恋愛もののフィクションなんかだと<永遠の愛>なんてのが当たり前のように出てくるが、そんなものは作り話の中にしか存在しないというのを地球人の科学技術はこれ以上ない形で証明してしまったしな。


だから(ひなた)(まどか)も『一生添い遂げる』とは限らないだろう。個人的な理想としては添い遂げてほしいと願いつつ、俺の理想を押し付けることはしたくない。そうなった時はそうなった時だ。二人が納得の上で出した結論なら受け入れるだけだな。


(あらた)(りん)の時もそうだった。最初は戸惑いもしたが二人の気持ちがお互いを求め合っているのなら見守る決心をした。しかし結果として二人の気持ちは最終的にすれ違ってしまった。でもなあ、そういうのも含めて<心>ってもんだろう? 改めてそのことを学ばせてもらったよ。成長させてもらったよ。


ただ、お互いに一人の人間として適切な距離を保つ努力をするなら、生涯に亘って良好な関係を保つこと自体は不可能じゃないと俺も思ってる。フィクションで描かれる<永遠の愛>じゃなく、<相手を自分とは別の人間であることを認めて受け入れるという意味の愛>であれば。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ