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陽編 身内みたいなもの

こうして今の刑務所、特に、


<終身刑を言い渡された受刑者が収監されている刑務所>


の話をすると、まるで<実験施設>のように思えるな。が、この印象はあながち間違いじゃないらしい。もちろん公式には<ただの刑務所>なんだが、同時に、


『受刑者とロボットがどのように暮らしているか』


のデータを収集しているわけで、やはり<ある種の実験施設>という面も否定できないんだろうな。なにしろそこで得られたデータが実際にフィードバックされてるんだから。人間社会でロボットを運用するためのノウハウとして。


それを、


『受刑者をモルモットにしている!』


と反対する者もいるらしいが、いや、それで八方丸く収まってるんならいいんじゃないか? とは俺は思うんだがな。


『終身刑を受けた者を収監しておくためのコストを抑え』


『刑務官の負担を減らし』


『受刑者自身の負担も減らし』


『収監時のリスクを軽減し』


『終身刑を受けるような行いをした者を社会に戻さず』


『得られたデータを社会に還元することで貢献する』


ってことだったら別に反対する理由もないと思うんだよ。


『犯罪者なんか生かしておくだけ無駄だ!』


とかってのもただの<感情論>に過ぎないし、受刑者自身の刑務作業によって得られる利益が刑務所の維持に充てられているんだから社会の負担もかつてに比べれば微々たるものだそうだ。


そもそもその辺りの負担は、


<犯罪を未然に防げなかった社会の側が負うべきリスク>


なわけで、それが軽減されている時点で十分に恩恵を受けてるだろ。少なくとも俺としては納得してる。


まあここではその負担もないが。<犯罪者>がそもそもいないし。<外敵の行い>は別に<犯罪>じゃないし。野生の猛獣の振る舞いを法で規制できるか? ペットの場合は飼い主が責任を負うにしても野生の獣に飼い主はいないわけで。だからそこに<犯罪>はない。ただの<生存競争>だ。それについても対処するための体制は整ってきている。リスクは最小化できている。


(ひなた)(まどか)によるパトロールが<ピクニックにも思えるほど気楽なもの>に感じられる程度には負担も軽減されている。たまに外敵と遭遇することはあってもそれ自体がある種の<鍛錬>になってるし。


今はまだ<社会>と言うのも憚られるような小さなコミュニティなこともあって、


<しわ寄せを受けて追い詰められる者>


を出さずに済んでいる。だから<犯罪者が出る確率>も限りなく低い。全員<身内>みたいなもんだし。



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