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陽編 罪の報いを受けてる状態

そうだ。刑罰として<終身刑>に処されているんだから<救いとしての死>なんか与えてもらえるわけもない。それじゃ本末転倒だ。自身の犯した罪の報いを受けてる状態である以上、それから逃れるための<救い>は望むべくもないだろう。そんなことを叶えてもらおうだとか、ムシがよすぎるというものだ。もし完全に冤罪だった場合に得られるのは<救い>じゃなく<賠償>だしな。


元々本人に何らかの<特徴>があって周囲からの理解が得られずそれがゆえに追い詰められて歪んでしまった事例であってもそれ自体に対してのケアは行われ、自身の罪を自覚できるようにした上で塊根の日々を過ごさせるのが目的だ。


しかしそのことによっても改めて追い詰められて<救いとしての死>を求める者もいるものの、当然ながらその願いは叶えられない。それも含めた刑罰なんだ。


人間の刑務官が管理している場合はどうしても<管理の隙>ができてしまうことで、かつては受刑者が自殺を成功させてしまったりしたそうだが、ロボットはそんな隙を見せることもないからな。


それでもなお自身の罪を悔い改めない、理解できない者については、確か以前にも触れた、


『超AIによる極めてリアルな仮想現実の中で改めて人生を送らせ失いたくない存在を作らせた上でそれを喪わせることで自身の罪を自覚させる』


という処置が行われることもある。これはもう本当に半端ないもので、それまで<他人の痛み>などまったく理解できなかった凶悪犯でさえ慟哭するそうだ。


ただしこの方法は、<大切な者を喪い強烈な復讐心に囚われた者>には用いられないそうではある。


当たり前か。もとより<大切な存在を喪う痛みを知らなかった者>に対して行われる処置だしな。本来なら必要ないはずなんだが、<大切な者を喪い強烈な復讐心に囚われた者>の中で、


<無関係な他人が巻き添えになったにも拘わらずそれを悪びれもしない者>


については、仮想現実の中で自身の復讐劇を追体験させるのと同時に、それによって巻き添えになった者の痛みや苦しみを、


『すぐ身近な者を巻き込んでしまった』


という形で思い知らせるとのこと。<見ず知らずの赤の他人>であれば<必要な犠牲>と考えることができても、心を許していた身近な者が犠牲になったとなればさすがに違うんだろう。


そういう<処置>を行った後のケアについても、生身の人間が傍にいるとリスクも高いが、ロボットしかいないとなるとそれも回避できる。本当に<冷徹なまでの合理性>だと俺も思うよ。



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