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陽編 結局はどこかで妥協するしかない

そうだ。以前にも触れたと思うが、現在の地球人社会では、


<他人の身体生命に意図的に重大な害を及ぼす行為>


の多くが<終身刑も有り得る重犯罪>という扱いになっている。これは、


『そんなことをする必要がない社会になっているにも拘わらずそのようなことをする輩は強固な犯意の上で行っている』


という解釈が基になっているわけだな。<ラブドールと称されるロボット>の存在も<そんなことをする必要がない社会の一部>ということだ。<小児性愛>や<加虐嗜好>も、


<ラブドールをはじめとしたロボットを用いた代償行為>


で収めておくなら<疾病>として保険適応も受けられる。ここまで手厚く対処してもらってるってのになおも実際の人間相手にやらかそうとするならそりゃ厳しくされて当然だよな。


まあ、


『犯罪予備軍なんか片っ端から殺処分するべきだ!!』


とか喚く人間にとってはこれでも『甘い』んだろうが。だが、これまた何度も言ってるように『人間(地球人)が人間(地球人)を害する』行為はそれ自体が、


<地球人という種そのものを否定する振る舞い>


であることから、


『犯罪行為を否定するために公権力そのものが<人間(地球人)に危害を加える行為>を放棄する』


必要があったんだ。<被害者や遺族の心情>ももちろん大事ではあるものの、その辺すら<戦中>と<戦後>を考えると『詭弁でしかない』のが分かってしまう。何しろ戦中はそれこそ『敵を皆殺しにしろ!』『敵を皆殺しにしなければ自分や仲間や家族が殺される』的に煽ってくるクセに戦争が終わるや否や『戦争は終わりだ。これ以上の戦闘は禁じる』と<復讐の機会>すら奪ってくるんだぞ? <戦争を主導していた連中>が。こんな酷い矛盾があるか。


『だったら最初から戦争なんかするんじゃない!』


と思わないか?


どれほど<復讐>の正当化を望もうとも結局はどこかで妥協するしかないんだ。ましてや誰かの復讐に無関係な人間が巻き添えを食ったりすればそれこそ目も当てられない。かつての<テロ>なんてのはまさしくその典型なわけで。


フィクションなんかだと、


『復讐は憎しみの連鎖を生むだけだ!』


みたいなことを口にした主人公に対して敵対していたキャラクターが、


『なら俺が復讐した後でお前達が俺に対して復讐するのをやめればいい』


だとか言うのがあったらしいが、そもそもその<主人公と敵対していたキャラクター>自身が各方面から恨みを買うような振る舞いをしていた面もあったらしいから、それこそ『どの口が?』という話だろうな。



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