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陽編 まったく別のロジック

<対人関係>でさえ、地球人の場合はあまりにも複雑すぎる。目先の感情を優先して攻撃的になればいいというものでもない。


『自身の感情を表に出して激しく衝突することで互いを理解する』


というような在り方を是とするコミュニティもあったと聞くが、そういうコミュニティの<犯罪発生率>を考えればそれが本当に望ましい在り方なのか、疑問に感じてもいいと思うんだがなあ。


もっとも、そういうコミュニティに生まれ育った人間にとってはその犯罪発生率自体が<当たり前>だからそこまで疑問にも感じないのかもしれないが。基本的に<自己責任論>が強く、


『まともに社会に適応して生きていけないのは当人の責任だ』


と切り捨てるのが<普通の感覚>らしいし。


しかし<高い犯罪発生率という現実>について見て見ぬふりをするのが<利口な人間>のすることなのか、正直なところ疑問しかない。実際、『それじゃ拙い』と考える者も少なくなかったことで改善が図られてきたんだしな。ただただ感情的に衝突していたのをAIを間に置くことで<緩衝材>としての役目を担ってもらったりして。


『本音をぶつけ合ってこそ議論は深まる』


のと、


『感情的になるだけ』


なのは本質的に別の話なんだろうさ。シモーヌやビアンカや久利生(くりう)やメイガスやシオやレックスと話をしていても<忌憚のない意見>は口にしてくれるが、『ただ感情的なだけ』なんてのとはまったく異なってるし。


それが大事なんだとつくづく感じる。


もちろん感情を疎かにしても駄目なのは分かってるさ。人間ってのは<感情の生き物>だからな。しかしそれは、


『相手の感情を考慮せず自分の感情のみを一方的に相手に押し付けるのが正しい』


ことを意味しない。そんなことをしてるから一方的に他者を妬む人間に<犯罪の動機を正当化する言い訳>を与えてきたんだろう?


『どんなにつらい境遇であろうともそれを言い訳に他者の権利や幸福を侵害していいわけじゃない』


という大原則を侵せば人間社会なんて容易く不安定化するさ。それを裏付ける<歴史的事実>なんていくらでもあったはずだ。


と当時に、<つらい境遇>に置かれれば他者を慮っていられるだけの精神的余裕を持てなくなるのもまた事実。この事実を疎かにしていても上手くはいかない。<我慢>を強いるだけじゃ<人間という生き物>は健全ではいられない。


それが分かっているから、AIとロボットの助けを借りることにしたんだ。人間の感情とはまったく別のロジックで動くAIとロボットにな。



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