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陽編 プロローグ

(ひなた)は、俺と(ひそか)の娘である(ひかり)(じゅん)をパートナーとしたことで生まれた子だ。つまり俺にとっては孫にあたる。


見た目は地球人そのものとして生まれたもののその身体能力は限りなく野生のパパニアンに近く、助走もなく数メートルの距離をジャンプし、壁を駆け上り、容易く屋根に跳び移ってと縦横無尽に駆け回ることができるんだ。


幼かった頃はそれこそ(まどか)(うらら)と一緒になって集落中を走り回って跳び回ってくたくたになるまで遊んでいたりした。


その彼もあと二ヶ月ちょっとで十六歳。見た目には二十代後半くらいの立派な青年になっていた。しかもなんとなくの印象が父親の(じゅん)に似てきている。小さかった頃は母親の(ひかり)にも似ていたと思うんだが、男の子はやはり成長と共に父親に似てくるんだなと思わされる。


疑う必要もないのは最初から分かっていたが、間違いなく(ひかり)(じゅん)の子なんだというのを実感するよ。


とはいえ、野生においては確実に<我が子>かどうかを確かめることができるのは母親だけなんだよな。いや、それすら<胎生>の場合に限るか。卵生の場合は生まれた卵をすり替えられても分からないことも多いらしいし。


でもまあ、胎生の場合は母親はそれこそ命を懸けて子供を生みだすわけだから、そりゃ自分の胎内から出てきたのなら<我が子>に間違いないよな。


対して父親は、自分のパートナーが生んだ子供を自分の子供だと信じるしかない。今でこそDNA検査などの方法で確認する術もあるとはいえ、あくまでそれは<技術>があればこそのものであり、<人間ならでは>だよなあ。


そういう点でも人間は野生の生き物とは違ってしまっているわけで。自分のパートナーを信じられず子供とのDNA検査を行ったりするのも人間だからこそか。野生の生き物を引き合いに出して己の振る舞いを正当化しようというのなら、DNA検査なんかを行うのはおかしいんじゃないか? 野生の生き物にはそんなことできないんだしな。


そして野生の生き物の場合は、チャンスがあれば、


『自分の遺伝子を残したい』


『より優れた子孫を残したい』


という<本能>が働くことでパートナーとの子供とは限らなかったりもする。でもなあ、やっぱり野生の生き物とは大きく乖離してしまった人間が<本能>を言い訳にするのもおかしいと思うんだよ。


これまでにも何度も触れてきたように、人間ってのは<心の生き物><感情の生き物>だ。嬉しければ笑うし、悲しければ泣く。時には<恨み>を抱くことだってある。その人間がパートナーを裏切るようなことをするのは、合理的と言えるのか?



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