ルイーゼ編 そういう予感
日付が変わってすぐ、彩が人生を終えた。眠ったままで静かに息を引き取ったんだ。
そして焔も、夜明け前には彩の後を追うように。
その間、敢えて彩の遺体と一緒にしておいた。何となくそういう予感があったんだ。彩の命が感じ取れなくなれば焔も<生きる力>を失うんじゃないかとな。
結果的にはその通りになったわけだが、別にそれを望んでいたわけじゃない。ただ、苦しまずに逝ってもらえたらそれに越したことはないというだけだ。そんな俺の願いを聞き届けてくれたわけじゃないだろうが、焔も彩も、ただ寝ているだけのような様子だった。
まあ、亡くなって肉体が完全に弛緩すれば体内に残っていた排泄物が漏れ出てきてしまうが、それ自体が<生きていた証>だとも言えると俺は感じるよ。もっともそんなセンチメンタリズムに浸っていられるのも、セシリアがすべてケアしてくれるからだけどな。自分達の手でしなきゃならないとなればさすがにそこまでの精神的余裕も維持できてなかっただろう。まあ、地球人社会でも病院で亡くなればその辺はやっぱりメイトギアがしてくれるが。
その上で今回も、二人を見送るのは俺達家族だけにした。いわば<家族葬>という形か。
地球人社会でもすっかり一般的なものとして定着した形式であるそれは、ゆっくりと落ち着いて別れを惜しみたいならむしろ適している気もする。
光は弟妹を見送り、和と陽と萌花は叔父叔母を見送り、錬慈は兄姉を見送った。
しかも、思いがけず玲とメイも葬儀に参列してくれた。血縁にある鋭は関心も示してくれなかったにも拘らずだ。玲とメイにしても、<意味>までは分かっていなかったようではありつつ、<仲間>である俺達がやっていることを真似てくれたんだろう。棺の中に横たわる二人に花を供えてくれた。たったそれだけのことが胸を締め付けてくる。メイはそれこそ母親の真似をしただけにしても、玲は二人のことを仲間だとは思ってくれていたんだな。
メイもすでに七歳。地球人の十七~八歳くらいの精悍な若い男性そのものという姿になっていた。しかも、水帆と違って<服>は着ているもののそれは母親の玲のそれとよく似た緑色のぴったりとした上下だった。地球人の感覚からするといささか奇異にも映るが、当人達はまったく気にもしていないし。俺達もそれをおかしいとは思わない。いちいちそんなことを気にしていられない。気にする必要も感じないしな。
<命の循環>の事実の前には本当に些細な話だし。




