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ルイーゼ編 どうすれば自滅せずに済むか?

基本的に人間(地球人)は、


<恨みを忘れない生き物>


だ。野生の生き物もそれなりに恨みを抱く場合もないわけじゃないが、それすらあくまで『相手の存在を認識していられる間だけ』しか維持されないのは、ここで野生の生き物達を見てきたからこそ実感がある。相手が認識できる範囲内にいなければまるでなかったかのように振る舞えるんだ。


対して人間(地球人)は、相手の存在が自身の認知圏内になくても常に恨みや憎しみを抱えた状態でいられてしまう。それを承知しているからこそ、


『ここで敵を見逃したらいずれまた自分達を殺しに来る。自分の仲間が被害に遭う』


と想像できてしまうわけだな。で、


<皆殺しにしなきゃいけないという強迫観念>


に囚われてしまうと。野生の生き物は確かに冷酷で容赦ないが、そこまでするか? できると思うか? それどころか、牙斬(がざん)夷嶽(いがく)の様子を見ても、<人間>に対してあれほど敵意を剥き出しにしていたにも拘わらず、その気配を察することができなくなるとまるでそんなことなどなかったかのように<普通の獣>として生きられるようになった。なのに人間はどうだ? 


『坊主憎けりゃ袈裟まで憎い』


なんて言葉が生まれるほど、憎んでいる当人だけでなくそれに関わる一切合切まで同じように憎んだりするよな? 憎んでいる相手の<家族>まで殺そうとするほどに。


実際にそういう事件もいくつもあった。憎んでいる相手の家族に危害を加えたという事件が。しかもフィクションでさえその手の展開が喜ばれたりする場合すら。


『相手を思い遣ったり命を大切にしないのは動物なら当たり前だ』


とか言うのもいたが、いやいや、人間(地球人)はもう野生の生き物とはあまりにもかけ離れた異質な存在になってしまっているんだよ。


『地球の裏側まで逃げた仇を追いかけて殺す』


なんてことができてしまう時点で。だから野生の生き物の在り方を理由に<加害行為>を正当化するなんてのは<甘え>以外の何ものでもない。


そんな俺に気付けた程度のことを気付いた人間(地球人)は当然ながら他にもいて、ゆえにAIの協力も得ながらも、


『人間はどうすれば自滅せずに済むか?』


を追求してきたんだろうさ。俺も人間(地球人)としてそれを誇りに思う。カッコいいとか悪いとそんな話はどうでもいい。


『カッコよく生きられないなら死んだ方がマシだ!』


なんて自己陶酔の自己満足に付き合わされるのも真っ平御免だ。俺の大切な人にはちゃんと生きて生き抜いてほしいんだよ。





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