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ルイーゼ編 つきっきりの介護

そうだ。<概念>というものの多くはどこかで学び取らなけりゃ持つことができないんじゃないのか? 確かに<食べられるもの><食べられないもの><危険なもの><危険じゃないもの>なんかについては他者から教わらなくても自身の経験から学ぶこともできるかもしれないが、でもそれは<食べられないもの>や<危険なもの>に接した上で生き延びてこそだよな。そもそも最初からそういうものを回避するために事前に<食べられないものや危険なものという概念>を構築するには他の誰かから教わるしかない。


となれば、<命の価値という概念>も、結局は他の誰かから学び取る形で自分の中に構築するものなんじゃないのか? それがなきゃ『他者の命に価値があるか否か?』なんてことを考えたりするか? 精々が、


『自分にとって危険かどうか、害があるかどうか』


くらいしか考えないんじゃないか? その程度だったら、『危険がなく特に際立った害もない』となれば、いちいち構うだけの手間を掛けたくなるか? 少なくとも俺はならないな。


なのにネット上には自分とロクに関わりもないどころかそれまで存在すら認知してなかった相手を過剰に攻撃するのがいたよな。


『そんな奴は生かしておく価値もないだろ!』


とまで断定する奴がいたよな。俺の妹についても、


『さっさと殺せばいいだろ』


的なことをホザくのが何人もいたよ。端末を使ってそういうコメントをしたということは、端末に備えられたAIによる忠告や警告を無視して敢えて書き込んでいたはず。それだけ明確な意思で明確な意図をもって見ず知らずの赤の他人の家族の命の価値を勝手に決めてたわけだ。そんな奴がどんな綺麗事を並べようがそれこそ何の価値も感じない。


なるほどすでに記憶も人間性も失い怪物そのものの姿になった光莉(ひかり)の介護をするのはつらかった。苦しかった。『投げ出したい』と思ったことが何度もあったのもまぎれもない事実だ。だが、だからといって見ず知らずの赤の他人に勝手に決められるのは我慢がならない。ましてや他人の痛みや苦しみや葛藤をロクに想像もできないような奴らには。


そう思うのなら自分も他人の命の価値を勝手に測るのはやめた方がいいだろう? やめるのが道理だろう? 俺はその当たり前のことを心掛けてるだけなんだよ。


そんな中、(ほむら)(さい)の認知症の症状はさらに進み、一日中、ただ二人で寄り添ったままロクに動くことすらなくなった。当然、<垂れ流し>の状態だ。しかも、自分達が出したものを餌と間違えて食べようとするから、セシリアがそれこそつきっきりで介護してくれて。



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