ルイーゼ編 まともな親の姿
ただ、ルイーゼと斗真の件については、たぶん、どちらも<親>としては十分に責任を負えないだろう。ルイーゼは彼女の実祖父母も両親も<親>としてはかなり<駄目>な類だろうから、<まともな親の姿>を見て育ってきてないし。ルイーゼの母親を養子にして養育してくれた人物も、あくまで、
『自分が必ずしも親として十分な素養を持っていないと自覚しているからこそそれを補う手立てを講じた』
だけで、基本的には<学者バカ>と呼ばれるタイプだったそうだ。まあ、自分の駄目な部分を補う手立てを講じることができるだけでも立派ではあるものの、当人がちゃんと親として振る舞えていないという意味では<手本>は示せてないよな。ゆえに、
『親としてどう振る舞うか?』
を実地で学ばせることができていないのもまた事実。
が、だからといって、
『生まれてくる命に何の責任がある?』
のもこれまた事実。だからこそ、ルイーゼと斗真がちゃんと親としての責任を果たせなかったからといって二人を責めるつもりもない。
斗真も、ルプシアンとしてまっとうな生き方をしていたら普通に<ルプシアンの親>にもなれたかもしれないが、そうじゃないわけで。<一流の鍛冶職人>ではあっても<普通の親>になれるかどうかは別だしな。
そういう事実はありつつも、やっぱり生まれてくる子供には関係のない話だ。
地球人社会においても、未成年で子供を作ってしまう者は今もいる。未成年にも拘わらずセックスするのも決して少なくはない。俺はそれに対して忸怩たる思いもあるものの、その責任を子供に押し付けるのは嫌だ。承服できない。
幸い、アリニとドラニは非常に人間っぽい振る舞いができるようになっているし、加えて<赤ん坊のケア>についても問題なくこなせるのが分かってる。俺の集落でドーベルマンDK-aらが子供達の世話をしてくれたことで蓄積されたノウハウも共有できているし。これはビクキアテグ村でのモニカやハートマン、テレジアやグレイ、ドーベルマンMPMらについても同じ。人間にはできない芸当でありつつ非常に心強い。
ちなみに、水帆の養育を受け持ってくれているライラとオルトは、それこそ水帆に親として認識してもらえてる。形式上の両親は俺とシモーヌなんだが、やっぱり<近所のおじさんとおばさん>としか思ってもらえてないようだ。
せっかく名前が出たし水帆のことも触れておくと、もうすぐ実年齢で六歳になる彼女も見た目は十代半ばの少女(地球人の)だ。ただし、普段水の中で暮らす彼女はいまだに服を着てくれなかったりするので、絵面はけっこうヤバいが。




