ルイーゼ編 星渡る風
人間(地球人)が増えすぎたことによる<生き物の本能>としての少子化に加えて、
『月の六倍の質量を持つ惑星が衝突して地球は滅ぶ』
という<噂>がきっかけになって人口爆縮が起こったとされているが、まあ本当のところはそんな単純なものじゃなくもっと複雑に様々な要因が絡み合ってのことだったんだろうが、少なくとも人間(地球人)はそれでは滅ばず、しかも<調査>としてその<自由惑星>に実際に赴き持ち帰った<サンプル>が地球人類の運命を大きく変えたのは事実だった。
それは、Hiシリコンをはじめとした、現在の地球人社会には必要不可欠な様々な物質の塊だったそうだ。従来の素材では実現不可能とされていた強度や精度がこれによって実現でき、わずか数キロのサンプルだけで地球の科学技術が根底から再構築されることになった。<テラフォーミングの技術>も飛躍的に向上し、太陽系外の惑星への移住も夢物語じゃなくなったと。
亜光速ロケットの量産がたやすくなり、<外宇宙への期待>が現実のものに。
さらには<恒星間航行技術の理論>も、欠けたピースが埋まるように完成していったそうだ。まあさすがにその時点では実用化のハードルはまだまだ高かったらしいが。
しかしまずは亜光速ロケットによる外宇宙の探査を進めたわけだな。
で、遅ればせながら恒星間航行技術が実用化されたんだが、それにも、
<太陽系に進入してきた自由惑星の資源>
が活かされたとのこと。
なお、その自由惑星は、
<希望>
と名付けられたそうだ。もっとも『それじゃ味気ない』と考えた者達によって、
<星渡る風>
とも呼ばれたらしい。
<地球人類を外宇宙へと誘う風>
ってことだな。
これ自体は大変な発見だったわけだが、あくまで<きっかけ>でしかなく、実際に外宇宙に出て開拓が進むと次々新しい発見がなされて<普通>になってしまったことでそれほど騒ぎ立てることでもなくなってしまったんだよ。
地球の歴史でも、文化や技術を大きく変化させることになった発見もその詳細を知る者はそれほど多くないだろう? なんとなく『そんなこともあったらしい』程度にしか分からない人間がほとんどだと思う。<万有引力の発見>だって、『誰が発見したのか?』すら知らないのもいるくらいだし、知ってても普段はそこまで気にしてもいない。えてしてそんなもんだ。
でも、何かのきっかけで話題に上ることもある。<星渡る風>についても今ではそんな感じの<昔話>なんだよな。




