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ルイーゼ編 自分の好きなことを選ぶという自由

<自分の好きなことを選ぶという自由>


地球人に限らず人間社会においての<自由>とは、基本的にそれを指すものだと俺も思う。<本当の自由>なんてものは存在しないだろうしな。


そもそも生きている以上は<生きること>に縛られる。生きるために食い、生きるために眠る。『生きるために仕事をする』というものからは概ね解放された地球人社会であっても、生きるためには何らかの形で栄養素を摂取しなきゃならない。栄養素を摂取するために『食う』という行為を基本とした、


『栄養素摂取の手段を講じなければならない』


時点でもう自由じゃないしな。さらには眠らないと人間は死ぬ。中には例外もいるとしても普通は死ぬ。だからそこでも決して自由じゃない。


ゆえに人間の言う<自由>とは、


『自分が何に縛られるかを自らの意思で選ぶことができる』


というものだと俺も思うんだよ。ただそれは、他者の権利を大きく侵害するものであっては無駄に軋轢を生むから<好き勝手>は許されないのも事実だろう。そこを蔑ろにする者は疎まれて追いやられることになる。


そういう部分からも自由であろうとして反発を招き潰された人間も歴史上には無数にいたよな。だが一人としてそれを実現できた者はいない。一時期そういう振る舞いをできたとしても最後には結局死ぬ。殺されなかったとしても自身の<寿命>の前には無力だ。<死>からは自由にはなれない。


その当たり前を承知していれば無駄に調子に乗ることもできないさ。


究極、死ねばすべてから<自由>にはなれるかもしれないが、そもそも存在を失えば<自由という概念>そのものが無意味になるわけで。


その点、ルイーゼは<自身の関心事に自らの意思で縛られるという自由>を得ているんだから羨ましくもある。だがそれを妬むのも筋違いだろう。そんな<他者を妬む気持ち>に縛られて楽しいとは思えない。それどころか自分を貶めるだけじゃないか? そんな人生は面白いか? 


自分と他人は違う。違うんだから妬むために比べるのはもったいない。そんなことをしても自分の人生は楽しめない。これまでの人生経験を踏まえればこそそう感じる。


ルイーゼはルイーゼで、俺は俺だ。彼女が楽しそうに見えるのは、他者を妬んだりしてないからだと思うよ。他者を妬んでる人間が人生を楽しんでるように見えるか? 俺にはそうは見えないな。ただただ苦痛を味わってるようにしか見えない。そんな人生、羨ましくもなんともない。


むしろ哀れにさえ感じる。



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