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ルイーゼ編 けんもほろろ

ちなみに、三時間ほどしか寝ていないこともあってルイーゼの顔にはくっきりと<クマ>が浮き出ていた。だが彼女自身はそんなものまるで気にしない。


なお、標準的なメイトギアを有する家庭であれば、本人が望めば化粧も行ってくれる。だから化粧はメイトギア任せという者も地球人社会では多かった。


昔のメイトギアだと化粧も実に無難で没個性的なものになってしまっていたことで、<量産型メイク>などと揶揄されていたりもしたそうだが、


『ホントはメイクなんて面倒なんだよね』


と考える者も多かったことで、一時期、右を見ても左を見ても同じような見た目の人間が溢れていたそうだ。しかしさすがにそこまでくると今度は『個性を出したい』と考える者が増えてきて、かつメイトギアの方も人間の心理についてのノウハウが蓄積されて、<本人の個性を活かすメイク>を提案するようになっていったと。


だから今の地球人社会は、かつてと比べればそれこそ『美男美女しかいない』とまで言われるようになっているらしい。これは当然、医療の発達によって見た目もある程度はコントロールできるようになったからというのも影響してる。


俺自身はそれが普通だったから気にしたこともなかったが、全体の見た目のレベルがそうやって上がったとしても今度はその中でまた優劣が生じるのも事実。<美醜>なんてものは結局のところ<好みの問題>だってのが根本だと感じるよ。


もちろん、多くの人間が<美しい>と感じる造形というのはあるにしても、基本的には<ウケる見た目>を与えられるはずのメイトギアでさえ、一見しただけで区別がつくほど様々なタイプの<美形>だしな。さらには、メイトギアのカタログサイトにはそれこそ、


『不細工』


『こんな醜いメイトギアとか買う価値なし!』


的なレビューが寄せられてたりもするわけで。本当にいい加減なものだよな。


だからルイーゼの素顔も、造形だけなら十分に綺麗だと思う。思うが、不規則な生活の影響もあってクマが浮き出てたり腫れぼったい目をしていたりと、マイナス要因がとにかく悪目立ちしてる感じだろうな。


これも、<生きた人間>ならではだ。最初に設計された見た目が体調なんかの影響で変わってしまうことのないメイトギアとは違う。人間の場合はそんなところも心理に作用するからな。そりゃ複雑な心や感情を持つことになるってものか。


んで、『メイトギアの下位互換』がコンセプトの一つであるアリスシリーズのアリニも、メイクくらいはできるんだが、


「化粧とかいらない。邪魔」


とルイーゼに『けんもほろろ』に断られたんだ。



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