ルイーゼ編 情緒に乏しい
人間の子供がどんな人間になるかは親の影響が大きいのはどんな屁理屈をこねたところで揺るがしようのない事実だろうさ。単に、
『それだけですべて決まってしまうわけじゃない』
というだけだ。親から受けた影響がベースになってそこに様々な影響が複雑に絡み合って成立しているんだと思う。だから俺は自分が子供達に与えた影響について否定する気は毛頭ない。
そこに加えて子供自身の生来の気性のようなものも確かに影響するだろう。ルイーゼなんかはまさにそれかもしれない。
彼女の母親はそれなりに名の知れた数学者だったらしいが、<親>としてみればあまり褒められたものじゃなかったとのこと。自分の子供に対してロクに関心を示さず育児はメイトギアに任せきりだったそうだ。父親は母親に比べるとまだマシだったらしいが、あくまで『母親と比べれば』だった感じで。だから今のルイーゼの様子は両親の影響が大きいのは間違いないと思うものの、同時に彼女は生まれた時からあまり泣いたり笑ったりしない子供だったという。ミルクを求めたりおむつが汚れたりで泣くことはあってもその時にさえ激しく泣くわけじゃなかったと。
この話は、<惑星探査チーム・コーネリアス>のメンバーのサポートをより確実に行うためにコーネリアス号のAIにインプットされた<パーソナルデータ>を基にしている。ここまでプライバシーに突っ込んだ情報を提供しない者も少なくないが、ルイーゼはその辺の頓着がないそうで、自身のことを実に赤裸々に明かしていたんだ。もちろんこれをコーネリアス号のAIから提供してもらう際にも本人に承諾をもらったんだが、
「好きにすればいい」
と、まるで関心がない様子だった。そもそも他人の前で裸になることにすら躊躇がないとのこと。さすがに本当に公衆の面前で裸になったりすれば問題になるからやらないようにはしてるが。まあその程度の状況判断はできるんだよな。
なんにせよ、<生まれつきの気性>そのものがやや『情緒に乏しい』ものだったのは間違いないようだ。そこに両親の影響が加わり今の彼女が出来上がったわけか。
生まれつきあまり感情が表に出ないタイプであっても、両親をはじめとした身近な周囲の人間の影響を受けてぎりぎり人並みの反応を見せるようになる場合もあるのは判明している。人間と寄り添ってきたメイトギアが蓄積したデータからも明らかだそうだ。
しかしルイーゼの場合はそれすらなかったということだな。




