ルイーゼ編 三千年近くに及ぶ孤独
余談ではあるがせっかくなので触れておくと、
<自由惑星と化した惑星ハイシャインに付けられた、メイトギアが乗った惑星探査用の亜光速ロケットを再利用した観測衛星>
は、
『亜光速ロケットが実用化され太陽系外での大規模な惑星探査が本格化した際にメイトギアをオペレーターとして運用されたものの、その後に恒星間航行技術が実用化されたことで回収さえ行われずにそのまま壊れるまで宇宙の観測を続けることを命じられたものがあった』
という事実が前提になる存在だった。惑星ハイシャインを襲った災害が確認された際に近隣の惑星から救援隊が派遣され、その途中でたまたま発見されたそれが回収されて改修を受け、自由惑星と化した惑星ハイシャインを観測するための衛星として再利用されたそうだ。
もっとも、『たまたま発見された』といってもそもそも惑星ハイシャインの異変を観測したのがそのメイトギアと亜光速ロケットであり、詳細にデータを解析するためにわざわざ回収したというのもあるらしい。そうでなければいくら通り掛かったとしても回収はされなかったかもしれない。
そのメイトギアと亜光速ロケットは、<あさぎ2788TOS>と<あさがお三型三六六番機>。<現役>当時は本当にただのメイトギアと亜光速ロケットだったために、実は惑星ハイシャインの異変を観測しその事実を近隣の惑星にデータとして届けられた時点で実際の異変が起きてからすでに二百年が経過していて、救援隊自体は当時最新の恒星間航行技術で駆け付けたものの活動は空振りに終わったそうだが。
しかし、一縷の望みを託して<あさぎ2788TOS>と<あさがお三型三六六番機>は様々な<近代化改修>を受け、<恒星間航行技術の副産物として実用化された超空間通信機>も搭載されて、もし生存者の存在が確認出来たら今度こそすぐに報せられるように観測衛星として設置されたそうだ。
それから三千年近く<あさぎ2788TOS>と<あさがお三型三六六番機>は惑星ハイシャインの観測を続けているという話だ。ロボットであるメイトギアには酸素は必要ないためコクピットには不活性ガスが充填されて気圧と気温を保ちつつ劣化を最小限に抑えているということではあるもののよく三千年近くもの間、観測を続けていられるものだと感心させられる。なにより、<三千年近くに及ぶ孤独>は、たとえ寿命自体はもったところで人間には耐えられるものじゃないだろう。
これこそ『ロボットゆえに』だな。




