ルイーゼ編 必要な存在
だが、<反出生主義者>も<同性愛者>も、今の地球人社会には、
<必要な存在>
なんだ。というのも、俺が地球人社会にいた頃の地球人口は二十億人ほどで、植民惑星についてはほとんどが十億人程度を人口の上限と設定している。それを穏当に維持するためには出生率が高くちゃ困るんだ。だからこそ、
『子供は要らない』
『子供は持ちたくない』
『子供ができない』
という人間がそれなりにいてくれなきゃ、<人道に反する手法>を用いてでも人口調節する必要が出てきてしまう。
地球をはじめとしてそれぞれの惑星でも無理なく人間が生きていける数で抑えられているとはいえ、<地球人という種>そのものは多すぎるくらいに多いのも事実だろう。となれば、<反出生主義者>や<同性愛者>が出てくるのもむしろ<摂理>というもんじゃないのか?
だったらそういう人間達を虐げるのも違うだろう。排除しようとするのも違うだろう。わざわざそちらに誘導する必要はなくても、そういう教育を施す必要はなくとも、自然発生的に生まれてくる分についてはむしろありがたい存在のはずなんだよ。
<次世代を養育するという負担>
を免れる者がいるというのは確かに<不公平感>にも繋がるが、そこはメイトギアをはじめとしたロボットに<次世代の養育の負担>や<介護の負担>の一部を担ってもらうことで不公平感の緩和を実現している。
<子育て>も<介護>も、必要ではあってもやはりなかなか厳しい負担になってたのも事実だからな。
『赤の他人の子供を育てる負担なんかしたくない』
のも、
『赤の他人の介護なんか負担したくない』
のも正直なところだろうさ。そこは綺麗事ばかり並べても意味がない。人間(地球人)は綺麗事だけじゃ生きていけない生き物なわけで。
その辺りの<無理>をロボットに負担してもらってるわけだ。それに比べれば、
<上手くできない人間のフォロー>
なんて大した問題じゃないだろう? ましてやルイーゼのフォローくらい。
そんなわけで、<車椅子ロボット>については次からのルイーゼのメンテナンスに役立ってもらうとしよう。彼女としてもそちらの方が使いやすいだろうし。それこそ自室の椅子からそちらに乗り換えれば椅子に座ったまま最後まで連れて行ってもらえるんだ。楽だよな。
それでもあくまで彼女にとっては、
『メンテナンスなんていう面倒なことをやらされる』
事実の方が苦痛なんだろうとは思う。その苦痛を少しでも和らげる役に立つならありがたい。という程度だろう。




