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ルイーゼ編 バッドエンド好き

そうだ。医療用ナノマシンも使用期限や使用制限があって、何度も使い回すことは本来はできない。ナノマシン自身が自らを再生しようとするし治療カプセルにフィルターも備えられているから使おうと思えば何度も使えるんだが、安全性や衛生面をはじめとした諸々の点から基本的には<使い捨て>なんだよ。治療カプセルに備えられたフィルターもあくまで使用中のナノマシンを洗浄するためのものだし。


まあこの辺は、『注射針を使い回ししない』という感覚を受け継いだものだろう。注射針は確かに使い回しちゃマズかっただろうが、医療用ナノマシンの方は実は医学的科学的見地からはそこまでする必要はなかったそうだ。何しろ病原体を物理的に駆除し排除してくれるから、<アルコールによる消毒>なんかよりも圧倒的に確実で信頼に足るものなわけで。


だからこそ現在、<非常対応>として使い回しを行えてるわけだ。まあそうでなくても『やむを得ない』としていろいろ大目に見てもらってる状態ではある。


とはいえ、必ずしも『無限に使える』というわけじゃない。ナノマシン自体に自己再生能力があるとはいえ何度も再生を繰り返せばやがて本来の性能を発揮できなくなってくる。こうなるともうさすがに<寿命>だ。ここまででもうすでにストックの三分の一ほどが限界を迎えている。


まあそれについてもここじゃ迂闊に<廃棄>もできないから厳重に密封し、今後ここでもナノマシン技術が確立されていくであろうことを見越して<研究用サンプル>として保管してある状態だったり。


ちなみにナノマシンには<自己再生>の機能はあっても<自己増殖>の機能はない。だから勝手に増えて問題が生じるということはないんだ。


物語的には<ナノマシンの暴走>みたいなことがあれば盛り上がるのかもしれないが、


<AIおよびロボットの暴走>


を危惧してきた地球人が<ナノマシンの暴走>についても危惧しないわけがないからな。様々な失敗やトラブルを乗り越えた上でようやく安心安全なものへと完成させていったんだよ。


かつては、製造の手間を省くためにナノマシンに自己増殖機能を持たせたこともあったらしいものの、ヒューマンエラーから事故が発生してプラントが一つナノマシンに飲み込まれたなんてこともあったそうだ。


それを題材にした映画なんかもいくつも作られたとも聞く。<典型的なパニック映画>としていささか過剰な演出も込みで。


中には地球の滅亡を連想させるような結末のものもあったんだとか。


地球人はどうもそういう<バッドエンド>が好きだったりするよな。



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