ルイーゼ編 車椅子ロボット
そういえば黎明期のAIは、絵を描かせたりしても、
『人間が料理になって』
たり、
『指の本数が増えたり減ったり』
と、およそ実用性に欠けるものだったらしいな。まあ何でも黎明期というのはそんなものかもしれないが。自動車だって<最初の自動車>と言われるものは、
『人間が歩くよりも遅い』
にも拘らず、
『曲がれない止まれない』
というどうしようもないものだったと聞く。それを改良改良で使えるものにしていったと。AIも同じだったということだ。
幸い俺達はその段階をすっ飛ばすことができてるから<先人達の功績>様々だよ。本当にありがたい。
で、『車椅子型のホビットMk-Ⅱを作るかどうか』についてだが、
「正直、今はルイーゼの移動の時くらいにしか使い道がないよね」
というシモーヌの一言で、
「だよなあ……」
俺も納得し、
<従来のホビットMk-Ⅱを車椅子のように使うためのアダプタ>
の方を採用する……つもりだったが、
「車椅子型のも作ってみて試してもいいんじゃないかな」
光が言ったことで、
「そうだな。切羽詰まった状況じゃないからこそ無駄にも思えるものを試してみるのもアリか」
と考えを改め、シモーヌも、
「別に強く反対する理由もないしね」
ということだったので、
<車椅子型のホビットMk-Ⅱ>
を作ってみることにした。そうと決まれば設計図をそのまま<F-1>に送信し、すぐさま製作に取りかかる。ボディ以外の多くの部分がホビットMk-Ⅱの部品を流用できるのでわずか数時間で完成。
こうして俺達が寝る少し前に出来上がったのが、
<椅子から四本の脚と二本のマニピュレータが生えたロボット>
だった。サイズとしては従来のホビットMk-Ⅱよりわずかに大きいが、案外違和感がなくて、
『元々こういうロボットもいたのでは?』
という気分にさせられた。
まあ見た目としては<ホビットMk-Ⅱ>というよりも、
<ローターのないハチ子>
といった感じだな。だから違和感も少なかったのかもしれない。
とにかく、使い道は限定されるだろうが、運用してみて色々データを蓄えていこう。いずれ<医療用ナノマシン>が尽きて外科的内科的治療に移行していけば必要になってくる可能性もあるし。
もっともこれも、節約して使っていけば俺が生きている間は縁のない話だというのも分かってるが。
もちろんそれは地球人社会での正規の使い方じゃない。本来ならAIが、
<不法行為>
として当局に通報するレベルの話だ。だが、今なお俺は<遭難中>で、<非常時>だから、<非常対応>が適用されてるんだよな。




