ルイーゼ編 大きな損失
<スーパーキャパシタを製造できる設備>
について、
『コーネリアス号の工作室を使えば手間を省けるのでは?』
と思うかもしれないが、まあ実際、コーネリアス号の工作室であれば<最初期のスーパーキャパシタ>であれば作れなくもないんだが、もうすでにコーネリアス号の工作室のキャパぎりぎりまで稼働させてるんだよな。諸々必要なもののために。
この上、スーパーキャパシタまでとなるといささか無理がある。今の時点ではそんな無理をしなくてもリチウムイオンバッテリーである程度はまかなえているから、優先度自体は決して高くない。
加えて、今現在使っているリチウムイオンバッテリーと差し替えるとなれば相当な数も必要になる。そこまでの<生産能力>はコーネリアス号の工作室にはない。だからいっそのこと時間をかけてでも専用の設備を作った方が結果として合理的なんだ。
これは久利生やレックスの考えでもある。
「いずれ必要になるものだからね」
「ああ、だから余裕のあるうちに準備した方がいいと思う」
とのことで。
それにこれ自体が今後同じような状況があった時に備えての<シミュレーション>でもある。
って、また話が脱線してたな。今はルイーゼの<メンテナンス>の話だった。
ただこれも、移動中は好きにしてもらっていいということで、彼女はその通り移動中も鉱物の研究に没頭しているから、これといって何も起こらないんだよな。
迎えに行った時も、ホビットMk-Ⅱが一から十まで用意をしてくれて、ルイーゼは自分が調べたい鉱物のサンプルとルーペ等の機材と端末とを持って車椅子代わりのホビットMk-Ⅱに乗って空港まで連れて行ってもらい、そこで回転翼機に乗ってコーネリアス号の近くの空港まで行ってそこでバスに乗り換えコーネリアス号に向かい、治療カプセルでのメンテナンスを受けるだけだし。
本当に彼女は何一つ自分ではすることがない。する必要がない。それを条件にメンテナンスを受け入れてもらってるんだ。治療カプセルに入っている間はただ寝てるだけ。
まあ彼女にしてみればその時間すら惜しいんだろうが、そこは譲歩してもらってる。
この話についても地球人社会だとあれこれ言ってくるのもいるだろうな。何と言うか、
『ルイーゼを甘やかしてる』
的なことをな。でもまあ、ルイーゼのように自分の体のことも顧みず研究に没頭するタイプは今の時点では他にいないからなあ。シモーヌにもそういう面はあるが彼女ほどじゃないし。
ルイーゼにもしものことがあったら俺達にとって大きな損失だしな。




