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ルイーゼ編 スーパーキャパシタ

<スーパーキャパシタ>は、<化学反応式バッテリー>と違って電気を電気のままで蓄えることができる装置だ。


しかしその反面、体積当たりの蓄電容量は、<化学反応式バッテリー>には遠く及ばない。及ばないが、それはあくまでスーパーキャパシタ同様に現在の地球人社会で広く普及しているものと比べての話だ。<リチウムイオンバッテリー>に比べれば、数倍の蓄電容量を発揮できる。スーパーキャパシタが実用化された最初期のものであっても。


要するに、同じ大きさであれば数時間しかもたなかったところが一日以上もつようになり、今と同じく数時間だけもてばいいという性能であれば大幅な小型化ができるということだ。


これもルイーゼの功績だな。


とはいえ現実問題として生産にこぎつけるにはいくつものハードルがある。実際にスーパーキャパシタを製造する設備をいきなり作ることはできなかった。


<スーパーキャパシタを製造できる設備>


をレベル十とするなら、ホビットMk-Ⅱを製造できる設備はレベル一。どうすることもできない差がある。


なのでまず、レベル一の設備によって<レベル二の設備>を作り、そしてレベル二の設備によって<レベル三の設備>を作るという形で、徐々に高度な設備にしていくんだ。


だがここでまた必要になるのが時間だ。求められる精度を確保できる品質の材料は現在採集できる物の中でも極めて稀なためそれらを十分に蓄えてから次の段階に進むという形なので、計画に着手してからすでに五年が経過しているものの作れている設備はようやくレベル八に達した状態なんだよ。このまま順調に進んでもさらに数年かかるだろう。なにしろここからさらに難易度が上がるわけで。


それでも諦めずに続ければいずれ辿り着ける目標だ。決して実現が危ういようなものじゃない。ないが、人間の手だけで成そうと思えばどこかで折れてしまってもおかしくないくらいには地道過ぎる道でもある。そういう地道な努力を淡々と続けられるタイプの人間もいるにしても、そういう人材を確保するには相当な数が必要だろうな。


シモーヌ達はそれぞれ専門分野では諦めの悪さも発揮するものの、残念ながらこの手の<テクノロジー分野>の専門家じゃないんだよな。だからそこをロボット達が補ってくれてると。


こんな、いつ終われるかも分からない先の見えない地道な作業、正直言って俺には無理だ。せめて自分にとって関心のあるものならまだしも、そこまで関心があるわけじゃないからなあ。


だからこそ『ロボットに感謝しない』『ロボットを労わない』のはピンとこないんだよ。



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