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ルイーゼ編 バッテリー

バッテリーといえば、最近、エレクシア用や俺のローバーのバッテリーもさすがにへたってきた。地球人社会でならもう完全に交換時期をとっくに過ぎてる。インフラとしての無線給電が最低限整っているから日常的な使用の範囲であれば気にならないものの、地球人社会で<正常>とされるものに比べれば確実にその範疇を超えている。


満充電であれば一ヶ月はもつはずのところが、今はもうせいぜい一週間くらいしかもたない。地球人社会であれば普段使いにおいて支障が出ていると感じるレベルだ。インフラが十分じゃないところに出掛けることを思うと間違いなく躊躇するだろう。


だが、現時点でここで生産できている<リチウムイオンバッテリー>は、それこそ数時間で上がってしまう。無線給電で電力を供給し続けることが大前提の性能しかないんだ。無線給電が届く範囲から出て、次の無線給電が得られる場所まで持ちこたえるのが精一杯という感じだな。


これが実用化された二十一世紀頃は一般でも使われていたと聞くものの、正直なところにわかには信じられない話ではある。当時はまだ有線による給電が一般的だったらしいしな。そんなものがよく商品として価値を持ててたものだとむしろ感心するくらいだ。今の地球人社会なら子供の玩具としても『ふざけるな』と言われるんじゃないか?


ただそれについても、<スーパーキャパシタ>の製造の目処が立ったことで、<リチウムイオンバッテリー>と同等の性能を持ちつつ小型軽量化が行える可能性が高くなったんだ。


ルイーゼが発見してくれた<Hiシリコンの同位体>は、超AIだけじゃなくスーパーキャパシタの材料にもなるからな。


まあこれも地球人社会で一般に商品として流通しているものは専用の設備が必要だから再現は不可能にしても、スーパーキャパシタが実用化された最初期のものと同等品であれば、ここで作ることも不可能じゃない。今はそれを製造するための設備を準備している段階だ。ただし精度が非常にシビアなので、その精度が出せるようにノウハウを蓄積しているんだよ。


時間はかかるが、実現の目処は立っている。スーパーキャパシタが完成すれば、<朋群(ほうむ)製ロボット>の運用にもさらに幅を持たせることができると思う。


バッテリーがもつ時間そのものはリチウムイオンバッテリーに比べて劇的に変わるものじゃないが、とにかく小型軽量化が可能なのと、充電にかかる時間が大幅に短縮できるんだ。しかも化学反応式バッテリーに比べて経年劣化が極めて少ないことでバッテリーを更新する必要もほぼなくなる。



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