表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2551/2987

閑話休題 碧

錬是(れんぜ)の息子の一人である(ほまれ)がその生涯を閉じてから半月以上が経ち、心情的にも日常が戻ってきた頃、今度は(あお)が息を引き取った。


気丈に振る舞っていたように見えていたが、もしかするとそれはあくまで、


『弱っている様子を見せない』


という<野生の在り方>に従っていただけなのかもしれない。なにしろ(あお)は、(ほまれ)以外のパパニアンと子を成すことがまったくなかったのだ。


野生に生きる者は、


『自分の遺伝子を残す可能性をより高める』


『より優れた子を成すことを求める』


がゆえに、チャンスとみればパートナー以外の相手との子を成すことも珍しくないのだから。


なのに(あお)(ほまれ)と以外に子を成すことがなかったのである。それだけ(ほまれ)を<唯一無二>と認識していたのだろう。


まあ確かに、彼女にアプローチしてきた雄の中で(ほまれ)を超える者はいなかったのだろうが。


単純に<力の強さ>であれば(ほまれ)を凌ぐ者もいただろう。<見た目に優れた者>もいただろう。しかしその者達は『メイフェアを従える』ことができなかった。(ほまれ)だけが唯一メイフェアを従えることができたのだ。これはあまりにも大きなアドバンテージだと言える。


地球人はこう言うと、


『メイフェアのおかげだろ! (ほまれ)自身の力じゃない!』


『チートだ! チーターだ!』


『卑怯者!』


などと罵ったりもするだろうが、それを言う者達であっても(ほまれ)と同じようにメイトギアを従えることはできる。メイトギアをはじめとした<地球人社会製のロボット>は地球人でありさえすればちゃんと従ってくれるのだ。だからこそ(ほまれ)がメイフェアに仮にとはいえ<主人>と認められたのは特別なことなのである。その<特別>が<魅力>となるのはそんなにおかしいことだろうか?


しかも(ほまれ)はそんな力に溺れることなくきちんと己を律してみせた。その彼を魅力的に感じるのはそんなにおかしいことだろうか?


いずれにせよ(あお)は生涯、(ほまれ)だけを愛した。その事実に難癖をつけるのは、人として高潔な振る舞いと言えるだろうか?


それを考えることなくただ自分の感情に従いたいだけなら、好きにすればいいだろう。そういう人間を<魅力的>と感じてくれる者がいればの話だが。


少なくとも(ほまれ)はそうじゃなかった。他者が持ち得ない力を得ても理不尽な暴君にはならなかった。


そして(あお)はそんな彼を愛したのだ。


それゆえに生きる力を失ったのかどうかまでは分からない。それを確かめる手段もない。ただ、(ほまれ)の後を追うようにして(あお)が命を終えたという事実だけがそこにあるのだ。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ