メイフェア編 資料
そんなこんなで竜生の解剖は進み、最後には本当に、
『細切れのバラバラ』
になってしまった。<資料>として保存するためだ。<研究者>であるレックスもシオも、こういうところでは実に容赦ない。徹底している。
『竜生が<チーム・コーネリアス>のメンバーが顕現したものであった場合にはコーネリアス号内に受け入れたい』
と最後まで主張したシオでさえ、竜生が、
<リリエ・エグレンの遺伝子の一部を再現しているだけの獣>
であるとなればこれだからな。ある意味では<研究者の業>みたいなものも感じるが、だからといってそれを責めようという気には俺はなれない。
そもそも俺だって<惑星ハンター>なんて仕事を生業としてた人間だ。<何らかの生物が存在する惑星>を見付けて売り渡せば少なくない影響を与えるのが分かっててやってたんだからな。レックスやシオのことをとやかく言える立場じゃないさ。
ちなみに錬慈は早々に飽きてしまったらしく、今は萌花と遊んでいる。それに陽と和と麗が付き合ってくれている。『正式に結婚した』とは言っても実年齢じゃまだ十代前半だしな。幼いところはある。
まあ、最終的に四時間ほどかかったから、俺も正直なところキツかったのは事実だ。一応、立場的に見届けなきゃと思ったから最後まで見ただけで、楽しかったとかそういうのじゃぜんぜんなかったし。終始食い入るように見てたシモーヌと違って。
彼女は実際に参加できなかったのが残念だったから『せめて見るだけでも』という思いもあったんだろうさ。俺の<義務感>とはまるで熱量が違う。
ちなみに陽や和はほとんど見ていなかったが、それも別に構わない。『見なきゃいけない』ものでもない。<情報>についてはちゃんとまとめて後から閲覧できるようにするし、必要な時に触れられるようにしておけばいいさ。
いずれ光の跡を継いでこの集落のボス的な立場に就く可能性もあるものの元時点ではそれもあくまで<可能性>でしかない。必要になればするようになってくれればいい。俺だって昔はこんなこと関心すらなかった。にも拘らず、体裁上だけでも<ボスの真似事>ができてるんだ。
『立場が人を作る』
というのは確かにあると思うよ。もっとも、そもそも<素養がない人間>だと無理かもしれないから、ある程度のそれは磨いていく必要もあるとしても、俺の目には陽にも和にもすでにそういうものは備わっているように見えるから心配はしていない。
誉の群れの轟でさえ立派にボスの役目を果たしてるんだ。陽や和なら大丈夫だろう。




