メイフェア編 ロボット本来の在り方
他人を威嚇するようなイキった態度を見せるようなヤツは、それこそそうすることを誰から教わったんだろうな。
もちろん野生の生き物の場合は自身の身を守るためにもそうする必要があるだろうし、本能的にするんだろうが、もし人間の場合もそれだと言うのなら、そんなのは、
『野生の獣のまま』
ということじゃないのか? 『人間になりきれていない』ということじゃないのか?
『親が躾けることで子供を人間にする』
と言うのであれば、完全に『人間にすることに失敗してる』よな。逆に『人間として敢えてそうしてる』のなら、これはこれで<親がそれを学ばせた結果>だろう。
いずれにせよ、
『親が影響を与えたからこそそうなった』
のは変わりないだろうが。
なんにせよ俺は、親である自分が子供達に対して大きな影響を与えるという事実から目を逸らすつもりはない。その覚悟を持てばこそ今の自分があるとつくづく思う。その事実から目を逸らして見て見ぬふりをして気付かないふりをして、子供が自分の思った通りに育たなければ子供の所為にするような親ではいたくない。
それに、覚悟を決めて腹を括ってしまえば目の前の現実にそこまでおたおたする必要もなくなるんだよな。これはむしろ精神衛生上も好ましい状態だと思う。とにかく安定するんだよ。
もちろん一切精神が揺らぐことはないみたいな話ではないさ。俺だって毎日のようにあれこれ動揺したり狼狽えたりもしてる。ただ それが原因になって追い詰められたりはしないってだけだな。とはいえそこが大事なんだとも思う。動揺したり狼狽えたりした状態で慌てて何かしようとすれば思わぬ失敗を招いたりもするだろうし。
『泣きっ面に蜂』
という言葉もあるが、これも結局のところ何か思いがけないことがあって動揺したり狼狽えたりした状態で焦って動くから普段ならやらないような失敗を招くゆえに起こるものが多いんじゃないかなと思うんだよな。
その点、ロボットは感情も心も持たないからこそ『動揺する』ことも『狼狽する』こともない。なのにメイフェアの場合は<感情や心のようなもの>を持たせてしまったために面倒な事態になった。
ただあれ以来、彼女は大きな<やらかし>をしていない。これは、
『誉達が人間じゃないからこそ』
という皮肉な話のような気もする。人間相手じゃないからこそ、感情や心のようなものに大きく惑わされずに対処できているんだろうな。
ロボット本来の在り方を見せることができているんだろうさ。




