メイフェア編 今の関係が成立している
『人間とロボットは別のものであるからこそ その関係が成立している』
これは、誉や轟達とメイフェアの関係でも言えることだ。メイフェアはパパニアンじゃないがパパニアンじゃないからこそ今の関係が成立しているんだと思う。
彼女がもしパパニアンならそもそもこれだけの<力>を持つことはできないし、彼女が今の力を持ってなければここまで必要とされていなかっただろう。
と言うか誉とも出逢ってなかったか。彼女がロボットであればこそなんだ。
それを誉も轟もわきまえてくれている。決して彼女を<群れの雌>として扱うことはせず、ある程度の距離は保ちつつ利用してるんだ。まあ、誉の方はまたニュアンスが違うとしても。彼にとっては<命の恩人>でもあり<もう一人の母親>でもあるしな。だがそれでもちゃんと『パパニアンじゃない』とは分かってくれてる。それを群れの仲間達も承知してくれてる。
メイフェアを同じパパニアンとして扱っていたとしてももしかすると成立していたかもしれないが、ハードルは確実に上がってただろうなあ。
人間(地球人)社会でもそうだっただろう?
『人間じゃないものを人間として扱う』
という振る舞いがどれほど奇異な目で見られるか。周囲との壁を作るか。
『それすら<多様性>として受け入れるしか人間(地球人)という種が生き延びる道はない』
からこそ受け入れられてもきたが、奇異な目で見られつつも決定的に排除されずにはいられたが、野生の場合は人間(地球人)社会以上に難しいしな。
順がパパニアンとして生きていられたという事例もあるものの、それは<奇跡に等しい例外>だろうさ。その陰でどれだけの<順のような個体>が命を落としてきたか、その現実から目を逸らしてちゃ駄目だと思う。
その点、誉は本当に上手くやったと思うよ。
もっともそれは、メイフェアの方がロボットとして真っ当に機能してくれてたからというのもあるだろうけどな。人間の場合、わきまえてるつもりでもついつい感情の面で、
『同じように扱ってほしい。ちゃんと仲間として認めてほしい』
みたいに思ってしまいがちだからな。この点からもメイフェアに備えられた、
<心や感情のようなもの>
が実際にはそうじゃないと分かると思う。心や感情は『ずっとわきまえ続ける』というのが本当に難しいし。どこかでついついタガが外れてしまうこともある。外れなかったとしてもそのストレスは途轍もないものだろう。
精神に強い影響を及ぼすくらいには。




