メイフェア編 成り立たせる仕組み
『旭音のような存在を利用して自分達のストレス解消を図る』
ということ自体が、
<野生における群れを成り立たせる仕組み>
なんだろうというのをつくづく感じるよ。レックスもその辺りを解説してくれている。
「そうだね。野生においては人間社会のような<ストレスを和らげる仕組み>というものが存在していない場合がほとんどだ。だからこそ<イジメ>というものは<必要な仕組みの一つ>だったりする。
けれど人間社会においてはそのための仕組みや手法はいくつも用意されているんだ。にも拘らずそれを利用せずに<イジメ>という手法を取ろうとするから咎められもするし、場合によっては罪にも問われるんだね。
イジメを肯定しようとする人間はえてして『野生の動物もそうしてるから』と言って自らを正当化しようとするが、私はそれをあまりにも浅はかな考え方だとしか思わない。それどころか自身が人間であることを否定するものでしかないと感じるよ」
彼の言葉に俺も、
「まったく同感だな。人間社会と野生の世界とを同列に考える人間こそ現実を見てない」
としみじみ頷いてしまう。レックスの言う通り人間社会には<ストレスを和らげるための仕組みや手法>はいくつもある。だから<イジメ>は禁止されている。それが現実だ。なのにわざわざ野生の世界の手法を利用しようとするなら罪に問われても当然だろう? それを、
『人間は他の動物とは違う』
とか言いながら、人間社会とはまったく異なる状況で生きるしかない人間以外の動物を引き合いに出して自分の行為を正当化しようとするんだから本当に呆れるしかないよな。
そしてそう思うのなら自分はそんなことをしないように心掛けなきゃな。でなきゃ何を言っても説得力の欠片もない。ただただ無闇に反発を招くだけだ。
なにしろ<誉の群れ(轟の群れ)>でさえ、彼らのやり方に反発して出ていくのがいるくらいだしな。まあ、歯向かおうにもメイフェアという絶対的な後ろ盾があるから下手に力に訴えるよりも出ていった方が早いと思うんだろう。その判断ができるだけ利口だし、他所でもやっていけるかもな。
その判断ができない奴は無謀な反抗に出て無駄に痛い思いをすると。
人間社会であれば無謀な真似をしたところで<基本的人権>があるからこそその分だけ守ってもらえるが、野生だとまったく守ってもらえないから命にすら関わる。
とはいえ、同時に野生の生き物はそれこそ自分だけでも生きていけるからそれもできてしまうわけだ。




