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焔と彩編 彼の子供達

救急搬送では間に合わないと判断し、エレクシアはその場で<手術>を始めた。もっともこれも、ロボットである彼女が自ら判断して行ったことじゃない。あくまで俺が、


『駄目だ、間に合わない』


と感じたのを察知してそれに則した対応をしてくれただけだ。俺を主人とし俺に最適化された彼女は、はっきりと言葉にしなくても俺の意図を酌んでくれることもある。今のロボットはそこまでのことができるんだ。


もっとも、かつての俺はそれについて、


『ロボットに心まで読まれてる』


と感じて嫌悪してたりもしたけどな。だが今はすごく頼もしい。


とはいえ、彼女が持っていたのは、簡便な処置を行うための救急キットのみ。それでできる最大限のことをエレクシアは躊躇なく行おうとしてくれた。


切断された頸動脈を縫い合わせ、<医療用接着剤>で補強。それを僅か一分少々で行ってみせる。


さらにはすかさず自らに備えられた除細動器を用いた後に心臓マッサージ。加えて<心臓ペースメーカー>の役目も果たす。つまり今の彼女は、


<生命維持装置>


そのものになったんだ。


そうしているうちにハチ子が到着。エレクシアは(あらた)を抱いて乗り込み、ジャンプテイクオフで垂直離陸。全速力で俺達の集落を目指した。<治療カプセル>に収容するためだ。


治療カプセルでなら、どんな傷も治せる。死んでさえいなければ……


ところでこの時、レトとルナがどうしていたかと言うと、実はアカトキツユ村に逃げ帰っていたんだ。それこそ、


『命からがら』


でな。


地球人の感覚だと、


(あらた)を見捨てて自分達だけ逃げた』


『酷い話だ』


的な解釈になるだろうが、違う、そうじゃない。野生ではこれが正しいんだ。これでいいんだ。もしここで(あらた)を助けようとしてマンティアンに立ち向かおうとすれば、レトとルナまで犠牲になっていただろう。それじゃ意味がない。なんのために(あらた)が庇ったのか、分からなくなってしまう。


野生においては自らに連なる次の世代を生かすために犠牲になるのはむしろ<摂理>というものだ。レトとルナは(あらた)の実子ではないものの、<彼の子供達>なんだよ。それを生かすための振る舞いは、何も不自然なものじゃない。


それでも地球人である俺にとってはそれだけで完全に割り切れるものじゃない。こんな形で我が子を失いたくはない。だからこそできる限りのことをする。してもらう。


エレクシアは、そんな俺の要望に応えるために最善を尽くそうとしてくれた。そのために存在するロボットであるからこそ。



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