表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2439/2987

焔と彩編 彼女の役目

『レトを庇った(あらた)が、マンティアンの牙に捉えられてしまった』


その現実を俺の脳が理解するのを拒んでしまったのが、自分でも分かった。


(あらた)!』


と彼の名前を口に出そうとしてもできなかった。『咄嗟のことだったから』という以上に、そうやって彼の名前を口にしてしまったら、目の前の現実を認めることになってしまうのが怖かったのかもしれないと思う。


<不幸>というヤツは、不思議なことに続く時はなぜか続くよな。まあそう感じること自体が<バイアス>というものなんだろうが、こういうのは『たまたま』でしかないんだろうが、当事者からすると本当に、


『ふざけるな!!』


って話だよ。


だがこれは、『誰が悪い』という話じゃない。ルナもレトも悪くない。竜生(りゅうき)もマンティアンさえ悪くないんだ。強いて言うなら、


『そこまで想定していなかった俺が悪い』


だけだな。


でも今はそんなことを言ってる場合じゃない。


「エレクシア! (あらた)を助けろ!」


俺はほとんど無意識のうちにそう命令していた。竜生(りゅうき)に前に姿を現した彼女がそのまま(あらた)の救助に向かうことで何が起こるのかを、まったく考えることができていなかった。


もっとも、先に結論を述べるなら、


『何も起こらなかった』


けどな。さらに状況を悪化させる結果にはならなかったということだ。幸いなことに。


だから『不幸が続く』という話自体、自分が不幸だと感じるような部分だけを切り取って捉えるからそう感じてしまうというのもあるんだろうさ。


それに加えて、目の前の不幸に動揺してしまって余計なことをしてしまったり、逆にするべきことをしなかった所為で別のトラブルを呼び寄せてしまったりか。


今回は幸い、エレクシアが突然姿を現してそしてすぐにどこかに去ったことを、竜生(りゅうき)はそこまで気にしなかったようだ。


竜生(りゅうき)をレトやルナのところに誘導するような結果にはならずに済んだ。


そしてエレクシアは、(あらた)の首筋に食らいついたマンティアンの顎を掴んで万力のように締め上げ、離させた。


「ギキッッ!?」


マンティアンにしてみればいきなり何者かに顎を掴まれて途轍もない力で締め上げられたんだから、それこそ何がなんだか分からなかっただろう。しかもそのまま振り回されて投げ飛ばされたんだからな。


ただし、エレクシアがマンティアンの相手をするわけじゃない。彼女の役目はあくまで(あらた)の救出。それを履き違えることはない。


だから、その場で<手術>を始めた。ナノマシン注射を含む応急処置だけで搬送していては間に合わないと判断したからだ。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ