焔と彩編 動きそのものは
ホビットMk-Ⅱの頭部をカマで捉えたマンティアンだったが、その時の感触に違和感を覚えたかすぐさま離して間合いを取ってみせた。動きに躊躇いがない。迷いがない。
歳はまだまだ若そうな印象はあるものの、少なくとも戦うことについては並々ならぬセンスを感じる。龍然のような<超マンティアン>とまでは言えない、あくまでマンティアンとしての常識の範囲内には収まっているんだろうが、その中ではかなり上位に存在する可能性のある個体だろう。
まったく、恐ろしい話だ。
とはいえ、ホビットMk-Ⅱの方も負けてはいない。間合いを取ったマンティアンに対してすぐさま突撃。二機が縦に並んで真っ直ぐに。手前の機体が相手の視界を遮って後方の機体の動きを分かりにくくするんだ。
高度なセンサーをいくつも搭載しているロボットには通用しなくても視覚が情報源の大半を占める生き物相手にはそれなりに効果がある。
マンティアンでもそこは基本的に変わらない。龍然の場合は超反応で対処されてしまうにしても、普通のマンティアンなら通じるさ。
実際、今回のマンティアンも、一機目の攻撃は躱したんだが、躱した先に繰り出された二機目の警棒がガツン!と頭にヒットする。
「ギッ……!」
思いがけないそれに思わず声を上げたものの、実は反応はして見せていたから大したものだ。
なお、動きそのものはマンティアンの方が上だったりもする。そりゃそうか。今のホビットMk-Ⅱはあくまで、
『訓練された人間(地球人)の動きまでなら再現できる』
というだけであって、人間(地球人)の身体能力をはるかに凌駕しているマンティアンの方が高いパフォーマンスは発揮できるさ。
それでも、<ツーマンセル>という形をとれば、スピードで劣るホビットMk-Ⅱであってもリンクにより<手数>で上回ることができる。しかも、同時にまったく別方向からの攻撃が行えるからな。はっきり言って人間(地球人)の場合の<阿吽の呼吸>どころの騒ぎじゃない。
まあそういう意味じゃ人間の場合のツーマンセルとは違うか。何度も言うように<複数の体を持つ一体のロボット>だし。
しかもロボットだから動きそのものが普通の生き物とはまったく違う。違った動きをすることができる。生き物には<肉体の構造>という制約があるが、ロボットにももちろん<仕様>によってそれぞれ制約はあるが、逆に仕様によってはどんな動きでもできてしまうからな。
ホビットMk-Ⅱはマニピュレータが二本だけだが、本体側に武器を付けることだってできる。




