焔と彩編 新たな警報
そうして、
<陽と和と麗の結婚式の準備>
を行いつつ、竜生への対処も手を抜かない。
その中で、竜生はなおも先を急いでいた。一体何がそうさせるのか気になるものの、今の時点ではただ様子を窺うしかできないわけで、それによってもしかしたら<竜生の目的>も知れてくるかもしれない。
と同時に、新達の様子も窺う。
だがそこにまた、新たな<警報>。
「今度は何だ?」
問い掛ける俺にイレーネが、
「マンティアンがアカトキツユ村に接近中です」
淡々と答えた。
「まったく、次から次へと……」
ついそんなことを呟いてしまうが、これ自体がここでは日常だからな。たまたま重なってしまっただけに過ぎないのは承知してる。
「マンティアンを誘導いたします」
イレーネは応えて、ホビットMk-Ⅱを二機、向かわせてくれた。ついさっき村に配置したばかりの機体だった。人間の場合はさすがに休息も必要だが、ロボットには関係ない。文句一つ口にせず任務に当たる。
超マンティアンの<龍然>相手だとおそらく手も足も出ないにしても、普通のマンティアンが相手ならたとえ銃を使わなくても<ツーマンセル>で十分対処が可能だ。それにあまり大規模に動かして竜生に察知されても面倒だし。
そんなわけで、新達を迂回して追い越し、ホビットMk-Ⅱはマンティアンの対処に向かう。
バージョンアップを繰り返して性能は大きく向上しているが見た目はまったく変更していないから、丸っこい愛嬌のあるシルエットなのは変わりないはずなのに、何気に頼もしく見えてくるんだから不思議だ。
まあ、丸みを帯びた外装パーツは、素材的に強度が不足してる機体を守るための<装甲>も兼ねているから、
『愛嬌のある見た目を演出する』
だけじゃなく機能として合理的な意味もあるんだけどな。
<カメの甲羅>がカメの見た目にユーモラスさを与えつつも身を守る武器としてちゃんと意味があるのと似たようなものか。
そんなホビットMk-Ⅱ二機がマンティアンに接近。まずは敢えて姿を晒して威嚇する。野生の獣からすればあまりにも異様なその姿を見たマンティアンが怯んで逃げてくれるのを狙ってのことだ。
実際、これだけで追い払ってしまえることも多い。実に<平和的な解決法>だよな。
しかし残念ながら今回のマンティアンにはそこまでの効果はなかったようだ。明らかにギョッとした様子も見せつつ、即座に身構えて攻撃態勢に移る。
いやはや、なかなかに肝の据わった奴だぞ。
感心してる場合じゃないが。




