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焔と彩編 俺の個人的な想い

なんにせよ、<猪竜(シシ)に似た巨大な獣>がアカトキツユ村に接近している以上は対処しないわけにもいかない。


だからまずはホビットMk-Ⅱを派遣して誘導を試みる。猪竜(シシ)の気性から考えると自分の前に立ち塞がるものがいれば猛然と突っかかってくるだろうから、大きく迂回して背後に回り、遠ざける形で向かってこさせようと思う。


殺処分するのが手っ取り早いかもしれないが、


『実際に被害が出ていない時点で『可能性がある』というだけで命まで奪って排除する』


というのを当たり前にしてしまっては、その矛先が人間自身にまで向いてしまう危険性が高いからな。


実際に地球人社会ではそういう事例が無数に生じてきたはずだ。それによって醸成された憎しみや憤りの連鎖が六十世紀になってもいまだに影響を及ぼし続けている。そういう事態は避けたい。


その点、ロボットであればどれだけ損害が出ようともそこに強い恨みや憎しみは生じない。基本的にはな。


個人的にはそれを強く恨んでしまう者もいるかもしれないが、エレクシアが傷付いた時の俺の気持ちがまさにそれだが、そちらは個別に対処するべきもののはずだ。それだけを基準にして全体の理念を構築するわけにはいかない。そんなことをすれば結局のところ軋轢を生じさせる原因になるだけだろうさ。


<コラテラルダメージ>というものを考えればこそ、<ロボットの損害>についてはまさにその<許容すべきダメージ>なんじゃないのか?


実際に地球人社会だと公的な組織についてはその考え方を基本にしている。そのためのロボットなんだと割り切るようにしている。それを割り切れなきゃまた同じことの繰り返しだ。


『傀儡に魂を入れてはならない』

 

という言葉があるそうだが、俺もそうだと実感するよ。ロボットに感情や心を再現して持たせて権利を与えてしまっては、奴隷制度の二の舞いだ。過去や歴史から何も学んでいない


物を大切にする


というのと、


『道具は道具として割り切る』


というのはちゃんと両立するというのが俺の実感だ。<個人的な思い入れ>というのは、あくまで<個別の案件>だしな。


俺にとってエレクシアが<特別な存在>であっても、それを、


『社会常識にしろ!』


とまでは言わないし言えないさ。むしろその、


<俺の個人的な想い>


を一般化されてしまったら、同時に<陳腐化>されるようにも感じてしまうんだ。個人的な想いは個人の胸に秘めているからこそかけがえのないもののような気がするんだよな。


もちろんこれは<個人的な解釈>でしかないのも事実ではありつつ。



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